11月4日 府中の森芸術劇場どりーむホール

ツアー14本目にして、初の東京でのコンサートです。この日担当者は商売人として会場へ挑みました。府中へ出向いた目的は、王子にGuitarを買っていただく事です。
お話は夏のイベントのリハーサルの頃まで遡ります。ある日王子よりPRS社のGuitarがご所望との命を受けまして、メーカーに問い合わせましたところ、この時期なかなかその商品は入手困難な状況にありました。そこで、メーカーにはとにかく商品が入ってきたら連絡が欲しいとお願いし、待つこと約一ヶ月半、やっと1本王子に見ていただけることになり、スタジオに出向き、王子にGuitarをお見せしました。

担当者
「やっと1本入ってきました!」

王子
「おー!きたか!」

担当者
(ケースからGuitarを取り出し王子に渡す)

王子
(しばし弾く)

王子
「あのさ、もっと普通の色がいいんだよな。サンバーストとかさ」※この日持ってきたのはシースルーレッドでした。

担当者
「わかりました。もうしばらくお時間をください」

それからしばらく時は流れ、10月末のある日、ついにサンバーストカラーのものが入ってきました!よぉ〜し!今度こそ王子はお気に召されるだろう!と市川市文化会館で王子に入荷のご報告をしました!

王子
「あぁそうか。でも、もういらないかな」

ガーン!!

失意でいっぱいで市川を後にしました・・・
メーカーやCraft Houseにはかなり無理を言ってきただけに、立場がありません。念のため新潟公演で商品をメーカーへ返品しますが、本当にご覧にならなくてもよいですかとの確認にも「返していい」との氷のようなお返事でした(泣)
商品を送られてきたときと同じように箱にしまい、ツライことは酒でも飲んで忘れてしまおうと11月3日渋谷の某所でみんなで飲んでおりました。酒もすすみ気持ちよくなってきたそのとき!

業務連絡メールが入りました!

なんと王子が、やっぱりあのGuitarを見たいといってきたのです!!

ちょうど4日に商品を返品する予定でしたので、ほんとにギリギリセーフでした。

「明日府中へ持っていきます」と返信をしまして、明日は絶対買ってもらうぞ!と気をとりなおし、ガンガン飲みなおしたのでした。

そして11月4日、意気込みも新たに会場入りしました!(意気込みすぎて一度府中を通り過ぎてしまいました・・・)


サウンドチェックが終了し、王子がステージにやってきました!

担当者
「おはようございます!」

王子
「よぉ」

(王子、担当者が持ってきたGuitarを手にしばし弾く)

王子
「俺、チェリーサンバースト嫌いなんだよなぁ。もっと渋いのがいいんだよ。」

担当者
(絶句)

王子
「じゃリハ始めようか!」(そのままリハーサルスタート)

ガーン!!


しかし王子はリハーサル中もそのGuitarを数曲弾いておられました。リハーサル終了後、王子は一人ステージに残り、P社のGuitarと、その日持ってきたPRSを約20分くらい弾き比べておられました。その弾き比べが終わり、王子はGuitarを見つめております。

担当者
「客席から見るとぜんぜんチェリーサンバーストに見えませんよ!」

王子
「でもなぁ、赤いの嫌いなんだよ。弾きやすいんだけどなぁ」

担当者
「赤くないですよ!!」(どこから見ても赤ですが・・・)

王子、ローディにそのGuitarを持たせてステージの自分の立ち位置に彼を立たせて、王子は客席へ降りてGuitarの色の具合を見たり、他のGuitarと弾き比べさせたりしてステージへ戻りました。

王子
「うーん、どうしようかなぁ」

担当者
「買いましょうよ!!!」

王子
「どうしようかなぁ」

と言いながら、王子は楽屋へ戻っていってしまいました。ここで引き下がっては全て終わってしまいます。すかさず、楽屋ご訪問です!

担当者
「どうですか?」

王子
「色がなぁ」

担当者
「今、買ったらBrian-Tがもう一本ついてきますよ!(ジャパネット風)

王子
「なんだそりゃ(笑)」

担当者
「ではお好みの色に塗り替えましょう!」

王子
「できるのか?」

担当者
「できます!今月中にやります!」

王子
「そうか、わかった買うよ。前から買おうと思ってたGuitarだしな!」

やったー!
勝ったー!!
買ったー!!!

というわけで、なんとか買っていただきました。しかし早速リフィニッシュしなければなりません。武道館用Guitarデザインが決まらぬまま、またしても仕事が増えてしまいました。。。
いやーでも買ってもらえてよかったです、ホントに!

※ちなみに、王子にGuitarを買っていただくときは、このようなやりとりがいつも、とりおこなわれております。

やっとの思いで入荷したチェリーサンバースト。やっとこれで、買っていただけると思っていました。
ボディトップのトラ目も王子好みで鮮やかです。
ステージ上での少々暗めの照明だと、このように見えます。しかし、チェリーサンバーストには変わりありません。この日のコンサートで早速数曲で使用されました。

王子の足下の図。今回は白いFulltone CLYDE WAHと、PETE CORNISHのWAHを曲によって使い分けております。