品名:ESP ECLIPSE S-I BRILLIANT -MIXEDMEDIA-
通称:初代 S -I シルバー
PRODUCE:SUGIZO T,TSuji (TEAM ACTIVE) T,Shinji (ESP)
製造:1996年7月
製作者:Wood Craft - K,Imano (ESP Craft House)
    Paint - O,Sekine (ESP Craft House)
    Aluminium Art - T,“pyong”Hirano
    Build Up - T,Shinji (ESP)

BODY:
Selected Alder
NECK:
Maple / Ebony , 24Frets
SCALE:
24 3/4
JOINT:
Neck-thru-body
PICKUPS:
SILVER SENSOR
SILVER SENSOR
BLUE SENSOR
BRIDGE:
Original Floyd Rose
CONTROL:
1Volume
5Way Pickup Selector ,
Mid Boost Select sw
(Original Mid Boost Circuit)



1996年の『UNENDING STYLE』TOURがスタートしてから間もない、7月30日の大阪城ホールの初日に、S -I BRILLIANT -MIXEDMEDIA-は、始めてその姿を表た。『なんだ、あのギターは?』という言葉が、オーディエンスの眼差しを見るだけで我々に伝わってくるほど、見るものに衝撃を与えたに違いない。その時のギターがまさに、この初代 S-I シルバーで、始めて作られたS-I BRILLIANT -MIXEDMEDIA-のプロトタイプなのである。このギターが製作された当時のS-Iはミディアムスケールのスルーネック構造で、ピックアップにはレースセンサーが搭載されていた。
SUGIZOの中で暖めていたギター・アートのアイデアを、BRILLIANT -MIXEDMEDIA-として作り上げるまでには、SUGIZOのアートに対する探究心と、当時ESPのSUGIZO担当で、『UNENDING STYLE』TOURのツアー・スタッフでもあった、平野氏の努力があった。
実際の試作はツアーの1ヶ月ぐらい前から始められ、数回の作り直しの結果に完成したのは、ツアーも始まる寸前のゲネプロの現場であった。SUGIZOの、早くライブで使いたい気持ちを押さえながら、完成したこのギターをツアーに持ち回り、入念に調整やセットアップをした後、晴れて大阪城ホールでのお披露目となったわけである。

一度は折れたヘッドだが、これは修復されたあとのもの。
このギターに着いていたレースセンサーピックアップはそのまま、S-Iシルバー2号機に載せ変え て使った為、現在は別のピックアップがついている。

BRILLIANT -MIXEDMEDIA-を作った副産物に、パーツのメッキの違いによる、音の違いに気が付く事になる。 ECLIPSEは、開発当所からブラック・クロームメッキのパーツを標準仕様としていたが、BRILLIANT -MIXEDME DIA-で始めて、クロームメッキのパーツを使用したところ、ハイエンドの倍音が増え、音がブライトになるという傾向が見られた。この成果が後の、 S-Iをブラック・ニ ッケルメッキパーツに変更することにつながった事は事実である。そしてこのギターは、大阪城ホール以降のアリーナツアーの全箇所で活躍し、大反響を巻き起こしたが、『UNENDING STYLE〜TO RISE〜』になった初日の10月20日、わずか4ヶ月足らずの命であったが、グリーンホール相模大野のステージで、沢山のオーディエンスの見守る中、没する事となる。『UNENDING STYLE〜TO RISE〜』TOURはそ の後、S-I シルバー2号機があとを次ぎ、無事にツアーを終えることが出来た。
そして、初代S-I シルバーは写真の通り、折れたネック を修復し、現在このような形に戻っているが、その後のライブに復帰することはなかったのである。

Writer - Takashi Shinji



SUGIZOと平野氏の試行錯誤の結果、アルミシートを燃やしてカットする技法をあみだす。このことでBRILLIANT-MIXEDMEDIA-は、よりリアルで、コントラストに奥行きを増し、すごみのある作品となった。
修復されたヘッドのアップ。折れたヘッドの修復は可能だが、音は完全に以前と同じにはならないのである。初代S-Iシルバーはこうしてメインの座を降ろされ、現在は展示用モデルとしてその後生を送っている。