品名:ESP ECLIPSE R -I
通称:R-I
PRODUCE:SUGIZO  T,Shinji (ESP)
製造:2000年9月
製作者:Wood Craft - K,Imano (ESP Craft House)
    Paint - M,Terashima (ESP Tecnical House)
    Build Up - T,Shinji (ESP)
    Customize - Y,Tanaka (ESP)


BODY:
Selected Alder
NECK:
Maple / Ebony , 24Frets
SCALE:
24 3/4
JOINT:
Set-neck
PICKUPS:
Seymour Duncan ANTIQUITY
Strat Custom Bridge
BRIDGE:
Original Floyd Rose
CONTROL:
1Volume(Pull-Middle P.U. On)
3Way Pickup Selector



 『SUGIZOがファイアーバードみたいなギターを使ってたよ』
若いLUNA SEAファンのGuitar Kidsの間で、そんな会話が交され ているのを耳にしたのは、『BRAND NEW CHAOS ACTII』 TOURも始まって、間もなくの頃であった。そのニューギターを SUGIZOがステージで始めて手にしたのが、2000年10月9日、 大宮ソニックシティー公演の初日のこと。その日以来、終幕までLIVEメニューでは、特に後半の攻撃的な曲展開で使用されていた。 このギターこそ2000年のSUGIZOのニューモデル、ECLIPSE R-Iなのである。ボディーシェイプはGibson RDモデルを基本とし、 SUGIZOのアイデアを組み込んで製作されたもので、基本的には ECLIPSE S-Iとほぼ同じ、3シングルコイル・ピックアップに フロイド・ローズブリッジという仕様になっている。ボディー材にはS-Iと同じアルダー材を使用しているが、S -Iは材厚が57mmのアーチドトップボディーに対し、R -Iは材厚が42mmと薄く、広め の面積のフラット・トップボディーという違いがある。そのため、 深みのあるローから、エッジの効いたハイエンドまでレンジの広いS-Iに比べて、ミッドレンジが強調された特徴を持っている。

ECLIPSE S -Iと同じ、ピックアップにはSEYMOUR DUNCAN ANTIQUITY Strat Custom Bridgeが3個と、ブラック・ニッケルメッキのFloyd Roseブリッジが搭載されている。

わずか3ヶ月足らずしかLIVEで使用されていないのに、御覧の通り、キズ だらけのボディー裏。LIVEの使用頻度を物語っている。ギターにとっては 勲章ともいえるものだ。

R-Iの構想はそもそも、1999年9月、アルバム『LUNACY』の プリプロ中にプロトタイプの製作から始まっていた。試作を重ねた中で、最も難航した点はボディーとネックのジョイント位置であった。 ボディー形状が御覧のとおり、1弦側に角が張り出した形になってい る為、あまりネックをボディー側に仕込むと、ハイフレットに指がとどかなくなり、プレイに支障が出る。かといってネックを外側に着けすぎると、ストラップを掛けたときのバランスが悪くなるという問題があった。そのため、プロトタイプの製作に思いのほか時間を費やし、最終の完成形が出来たのが、『BRAND NEW CHAOS ACTII』のリハーサルに入る直前のことであった。このR-Iの完成をSUGIZO はとても喜び、さっそくリハーサルで使用し始め、晴れて大宮ソニッ クシティーでのお披露目となったのである。2000年のツアーも半ばを 過ぎていたが、遅れて戦列に参加したR-Iは、『TIME IS DEAD』 , 『ROSIER』 , 『Be Awake』など、LIVEのハイライトともいえる場面で活躍 し、R-Iを持ったSUGIZOのステージングは、短い期間ながら、 LIVEを見た人々の脳裏に焼き付いていることでしょう。

Writer-Takashi Shinji

『BRAND NEW CHAOS ACTII』では、Liveメニューの本編終わりの『Be Awake』で使われたあと、よくステージ上を引きずり回されていた。アウトプットジャック周辺のキズは 、まさにそのときのものである。
LIVEではステージングを考え、SUGIZOはギターのバランスを重視する。 これはネック側のエンドピンの写真で、ストラッ プの位置をなるべくネック側にするために、シャ ーラー製ロックピンが使用され、さらにストラッ プピンの下にスペーサーが仕込まれている。 SUGIZOモデルとしては珍しい仕様だ。

ボディー裏の右下にあるこのパネルは、一見バッテリーキャビティーのように見えるが、実は本番直前にバランスをとるため、おもりを仕込むカスタマイズをしたものだ。

ご覧のように、ESP ECLIPSEシリーズはSUGIZOが求める「理想のギター」を実現するべく、実に様々な工夫がなされ、日々進化を遂げている。このような改造はリハーサル中はもちろんのこと、本番直前のドタバタの中、楽屋裏に簡易リペアブースを作って大急ぎで行われることもしばしばである。ESP担当者にとっては、毎日が戦いの日々と言っても過言ではない。しかし、こういった「現場から生まれたアイディア」は、その後のESPの新製品開発に確実に反映され、よりクオリティの高い製品を生み出す結果につながっているのである。今後もSUGIZOとESPのコラボレーションに是非期待していただきたい。