なんとか坂崎さんとのお約束通り、名古屋国際会議場センチュリーホールでのコンサートの日までに完成させることが出来ました。コンサート2日目にはアンコール2曲で使用していただき、細部の確認を得ることが出来ました。その結果、これから正式に製作に入るモデルはトップ材をマホガニーに変更することになりました。それによって坂崎さんの30th Anniversary Modelはオールマホガニー製のGuitarとなることに決定いたしました。12月15日よりそのモデル製作に早速着手しております。ではその記念すべきPrototypeの完成までの道のりをご覧ください。(過去に近況報告でご紹介した坂崎氏New Guitar Projectの内容と合わせてご覧いただくといっそう深い味わいが出ると思います)

まず、クリアの板で図面から型をおこしました。
サイド材に使われるマホガニー。これを曲げてボディサイドのリムにしていきます。
サイド材を曲げるための治具。
通称アイロンと呼ばれるものにサイド材を当て、熱を加えながら少しずつ曲げていきます。
少しずつゆっくりと曲げていきます。焦りすぎると割れてしまいます。
アイロンで曲げた後は、治具を使用して固定していきます。
ここまで来ると、サイド材のリムとしてほぼ完成です。
ネックセット部分とボディ下部にブロックを接着し、サイド材をつなげ合わせます。
サイド材にライニングを貼り付ける行程です。洗濯バサミ状のクランプで止めていきます。
かなり地道な接着方法ですが、ここで手を抜くと大変なことになってしまいます。
ボディバック材にブレイシング材を接着している図。
ボディバック材にブレイシング接着終了の図。
ボディトップ材にもブレイシング材を接着していきます。
接着がされたブレイシング材をノミを使って整形していきます。
ボディトップのブレイシング加工完成の図。
サウンドホール部の飾りは、ヘリンボーンタイプを採用しました。
またまた特別な治具を使って、サイド材とボディトップ材を接着します。
上から見ても何やらヘンテコな感じです。
トップ材との接着が終了したら、今度はバック材の接着をします。
やり方はトップ材を接着したときと同様です。
ボディ材が全て接着され、ボディが完成しました。
次にボディサイド部分に巻かれるバインディング加工をするための溝を入れていきます。
ボディトップとバックにそれぞれ溝を入れていきます。今回はボディ下部のエンドピンが付く部分にもバインディングを施しました。
デザイン上、カッタウェイの先端部分はサイド材を曲げることが不可能なため、ここもバインディングを使用してサイド材をつないでおります。
ボディを一周するバインディングを接着していきます。
このように少しずつマスキングテープで固定して、接着していきます。
ボディバインディング加工、完成の図。
ボディバックも同様にバインディング加工完成です。
次にネックの加工をしていきます。
ここで、握り形状もある程度形成されます。
ネックジョイント部分の加工をし、接着をしていきます。
ボディとネックが接着され、ネックにトラスロッドを埋め込む溝とその両サイドに補強用のカーボンを埋める溝を入れます。
こうしてみると、やっとGuitarの全貌がわかるようになってきました。
ネック材にトラスロッドを埋め込み、埋木を接着している図。
トラスロッドが埋まったら、指板を貼り付け、フレットを打っていきます。
フレットも全て打ち込まれました。
そして塗装に入ります。ネック、ボディサイド、バック材がマホガニーなので、まず「目止め」と呼ばれる作業をします。
目止めが終わったら順調に吹き付け作業を重ねていきます。
今回はPrototypeなので、現段階でカラーは決められていないため、ナチュラル仕上げです。
ヘッドトップのみを黒に着色しました。
塗装完成です。
バックも綺麗な仕上がりです。
エボニーで作られたブリッジ。これをボディに接着します。
ブリッジを接着する部分の位置出しをします。
位置が決まったら、ブリッジを接着し、クランプで固定していきます。
ブリッジ接着完了。ここまでくれば、あともう一息です。
エレアコにするため、ブリッジのサドル溝にピエゾPUを埋め込む作業をします。
コントロール関係は、シンプルなダイレクトアウトなので、配線も極力シンプルになります。
ヘッドにペグを取り付け、ナットに弦を張るための溝を入れていきます。今回はカーボンナットを採用しました。
弦を張り、ナット溝の高さ調整をしていきます。
サドル部分での弦高の微調整をして完成です。

坂崎さんのNew Guitar Prototype、ついに完成です!
正直、2ヶ月で完成できるとは思っていませんでした。