「僕はまだ恋をしてはいけない」と2枚同時リリースされる「優しい言葉」。
謎のベールに包まれたその全貌がついに明らかに!



京本政樹:「優しい言葉」という曲についてはですね、話はちょっと遡 りますが、まだ雨宮監督サイドから2クール目のエンディング テーマの制作依頼がまだ来ていなかったときに、普通の感覚でいくと、「牙狼 (GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜」をシングルカットしよう、という話に なってくるわけですよね。

しかし、ここで問題になったのが、B面をどうするか???という話だったんです。

やはりアルバムから両方入れることは出来ないのです。それはアルバムを買っていただいた方に申し訳ありませんから。

トライスクルのプロデューサーとも、「こんなスケジュールカチカチの中でどうしましょうか?」っていう話になっていたわけです。


そこで、前作の「僕が愛を伝えてゆく」というアルバムは、僕のこれまでの代表作、僕が自分としても心から満足している曲ということであの13曲を収録したわけなんですが、実は、僕が気に入っている曲が、他にもまだあったんですよね。


それは僕の大切な友人であるBEGINのために作ってプレゼントした歌だったんです。

一つは「I Miss You」という曲。そしてもう一曲が「優しい言葉」という曲だったんです。

これはもう、今から十年くらい前の話なんですけどね、

当時、真田広之くんやBEGINの連中とお食事の席とかで盛り上がっちゃいまして、「みんなでコンサートをやろう!」なんてことになってですね笑、

そこで、「よし!じゃあ僕が曲を書くよ!」なんて言って、パパッとこ
の2曲を書いたんです。


ですので、当時としては、BEGINと真田広之くんと僕とで、ステージだけで披露された曲なんですよ。


「優しい言葉」に関しては、もう栄昇くん(ESP注:比嘉栄昇さん。BEGINのVOCALを担当。)に歌も全部任せて、僕はあえて歌わなかったんです。アレンジもすべてBEGINに任せてたんで、彼ら流のアレンジで、ブルージーな感じでカッコよく演奏してくれてたんですね。

そこでね、三年くらい前に、NHKでとある歌番組がありまして。
僕がBEGINが作曲した「涙そうそう」を歌って、僕とBEGINで「I Miss You」を歌って。そして、BEGINだけで「優しい言葉」を演奏してくれたんです。それを全国放送でやったんですよね。
その「優しい言葉」を演奏してるときには、僕は観客席でずっとBEGINを見てたんですよ。


で、そのことをフッと思い出して、そいういえば「優しい言葉」は、結局僕は作曲段階でしか歌ったことがなかったなあ。なんて思ったんですよ。

それで、トライスクルのプロデューサーに、そのNHKの番組のビデオを見せたところ、

「これ、イイですね〜!」なんていってノッてきてくださったので、「じゃあ、これをやってみましょう!」というお話になるわけです。

で、そのころは、もちろんアルバム制作中の段階で、アレンジを山本はるきちさんにお願いするっていうのも自然な流れで。




ですので、当初、「優しい言葉」は「牙狼(GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜」のB面として制作されることになったわけなんです。

そこで、山本さんが素晴らしいアレンジを作ってくださって、それにいよいよ歌入れ、
ということで僕がポコンって歌ったら、突然スタジオ中のみんなの顔色が変わっちゃったんですよ微笑。



「この曲、、、ほんとにイイですよ!」って笑。



プロデューサーも「これは薄桜記とは違う意味でスタンダードです!」って言って盛り上がっちゃいましてね笑。

そう言われると僕も、こういうメジャーコードの曲調の楽曲も、薄桜記とは違う意味でカラオケとかに残したいなあなんて思い始めてですね笑。

そこで、後日、プロデューサーとの食事の席で、鶴の一声で

「この曲がB面なんてもったいない!こうなったら2枚同時シングルで行きましょう!」なんて言って盛り上がっちゃったんですよ。


そして、まさにこのタイミングで、先程お話した雨宮監督と牙狼プロデューサーサイドから、2クール目のエンディングテーマのお話が来るわけです。ここで繋がるんですね笑。


そして僕は45秒という過酷な制約を受けながら笑、「僕はまだ恋をしてはいけない」を完成させたわけなんですが、


そして、ここでもまたひとつ問題がおこりまして。。。


どういうことかっていうと、もうこうなったら「僕はまだ恋をしてはいけない」のカップリングは「牙狼(GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜」で決まりなわけですよ。これは牙狼を見てくださっている特撮ファンの皆様にも喜んでいただけるようなシングルにしよう!と。

ですが、「優しい言葉」のカップリングはどうしましょう???っていうお話になっちゃってですね。

一度はアルバムに収録していた「も一度ヨコハマ」は???なんてアイディアもあったんですが、やっぱり僕としては「優しい言葉」を活かすには、アルバムから普通に入れたんじゃ、何かつまらないかなあ、と。




そこで、過去に書いてきた楽曲の中で、僕の中で良い曲だとは思ったんですが、やりたりてない、というか、不満足なものがまだ何曲かあったんですけど、その中で一番やり直したかったのが「フライトナンバー62」なんです。

今ならば、今の僕が歌ったならば、もうちょっと違う歌になるのではないか、っていう直感があったんです。

そこで、プロデューサーに無理をお願いして、この曲もやることになったわけです。


というわけで、実はアルバム制作のときに、アルバム収録用の13曲の他に、さらに2曲、合計15曲を同時に作っていたということなんですよ笑。

とにかくいろいろな事件が勃発するたびにどんどん曲が増えていくという笑。
そんな状態なもんですから、そりゃ寝る時間もなくなりますよね笑。


この「フライトナンバー62」は、ほんとにファンの皆様でも知る人ぞ知るっていう感じだと思うんですが、元曲のアレンジが僕は大好きだったんで、あえてそのままにしました。
歌い方は、当時はちょっと絞った感じで歌ってたんですが、これを、先程完成した「僕はまだ恋をしてはいけない」みたいな感覚で、フラッと軽く歌えないかなという思いがあったんです。

ですので、これはボーカルブースにエレキを持って入って、立ってカッティングしながら歌ったんです。
「僕はまだ恋をしてはいけない」があったからこその、仕上がりになったと思います。

そんな感じで今回はいろんなことを試していったんですね。


是非、皆さんに楽しんで聞いていただけたらな、と思います(微笑)




なんと「優しい言葉」は、当初「牙狼(GARO)〜僕が愛を伝えてゆく〜」のカップリング候補曲だったとは!
しかし様々な運命の巡り合わせにより、この曲は晴れてシングルA面としてリリースされる栄誉を勝ち取ったのである。

この曲の圧倒的完成度を聴いていただければ、必ずや皆様にも納得していただけるはず。
数ある京本氏の作品ライブラリーに、ひときわ光輝く名曲・名演がさらに1曲追加されたと、ここであえて断言させていただきます!

さらに新録音によって新しく生まれ変わった「フライトナンバー62」。
まさに今の京本政樹でなくては表現できない、なんとも艶のある歌のタッチをぜひご堪能いただきたい。

さて、このインタビューシリーズも次回でいよいよ最終回。
巨大壁画、シングルジャケット、さらにプロモーションビデオにまで特別友情出演してくださっている杉本彩さんについてお聞きいたします。震えてお楽しみに!!