これまでほとんど明るみにされていなかった京本政樹氏の音楽的ルーツ。氏はいくつかの楽しいエピソードを交えながら丁寧にお話してくださった。 しかし、京本氏の「人を惹き付ける力」とでもいうのだろうか、、、その目にじっと見つめられながらお話を伺っていると、かつて「この人についていこう!」と決意した昔のバンド仲間の方々の気持ちがわかるような気がした。 常に真っ直ぐにものを見つめる視線。そこには絶対に妥協を許さない、強い意志が宿っている。そして、何よりもこの方はお客様を楽しませたり、びっくりさせたりすることが大好きな、生まれながらのエンターテイナーなのだ。京本氏が放つエネルギーには、人を惹き付けて放さない何かがある。 約25年前、シンガーソングライターを志しながらも、あえて俳優という道を歩き始めた京本氏。 しかし、氏の中には常に「シンガーソングライター」への強いこだわりがあったようだ。 |
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<Vol.1からのつづき> |
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京本:なぜかじゃないけど、時代劇の世界に入っていくわけです。 それから5年間くらい、「時代劇」にずーっとどっぷりですよ(微笑) でも、ギター少年の気持ちは変わらないで、楽屋でギンギンギンギン歌ばっかり! そのほとんどの曲を作ったギターっていうのが、親父に買ってもらったあのギターですよ。 「セプテンバーナイツ」という曲もその親父のギターで作ったんです。 ところが、時代劇の役者さんがまわりにいらっしゃるところで、「セプテンバ〜ナイッ♪」なんて歌ってる僕なんてのは、やっぱ変でしょう?(笑) だからそのころボク、ミュージシャンだって思われてましたもん。 「君、歌やってんだよね〜」って言われて。 で、今はその全く逆になってしまったんです。 「京本さんて、俳優さんでしょ?」って今は逆になっちゃったっていう(笑) |
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時代劇俳優として活躍する一方、シンガーソングライターとしてもこれまで12枚ものアルバムを出すなど精力的に活動してきた京本氏。 当時は渋谷公会堂や日比谷野外音楽堂などでコンサートを行い、そのまま夜は時代劇の撮影に入るという超ハードスケジュールの日々もあったという。 しかし、時代劇俳優としての「必殺仕事人」シリーズのヒットにより、次第に京本氏の中で葛藤が高まる。 「時代劇俳優」と「シンガーソングライター」のどちらをとるか?真剣に悩んだ結果、「今は時代劇に精進したい」との結論に達し、氏は音楽活動を一時封印してしまうのである。 しかし俳優に専念しつつも、「必殺」シリーズのBGMを製作したり、数々のアーティストに楽曲提供をするなどの音楽活動は行っていた。 そんな氏が、デビュー25周年という節目を迎えるにあたり、「今ならば」との思いから、ついにその封印を解き、音楽活動を本格的に再開させるに至るのである。 そこで、今後の音楽活動について、そして今回ESPとのコラボレーションで誕生したギターについてお話を伺った。 |
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京本:自分もそこそこ年齢に達してきて、大人の年齢になって。 そういう自分がシンガーソングライターとして作りためてきた曲、またこれから作る曲をライフワークとしてやっていきたいですね。 ライブ、ディナーショーにかかわらず、様々なパフォーマンスがあると思うので。 その中にたまたま出来てきたのが、今回の「薄桜記(さくらうた)」という歌だったり。 自分の作る曲には派手なものもあれば、メロディアスなもの、そして得意なバラードもある。 そういうものを作り続けて、ショーを構成していきたい。 それから、ディナーショーと言えどもライブと言えどもやっぱりショーなんですから、パフォーマンスとして、こういう「サムライギター」みたいなのをみなさんにお見せしたりする楽しみもありますよね。 |
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ESP:では、今回の「サムライギター」制作の経緯について聞かせてください。 |
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京本:これは「苦悩〜Paine〜」というアルバムを作っている最中に、レコーディングスタジオの中で、すでにもう、「ライブをやりませんか?」というお話がきていたんです。 その中で「俳優=京本政樹」、ましてや「時代劇をやる京本政樹」として知られている僕としては、当然、着物を羽織ってくるとか、「ぱらぱ〜♪」って出てくるとか(笑) そういうことを期待されてるんだろうなって、なにげなく思ってまして。 でも、自分がこれまでいろいろ蓄積した中で思ったことは、やっぱり「うまく驚かせたい」「うまく融合させたい」ってのがすごくあってですね。 どういうことかっていうと、刀を持って出てきたら、もう「抜きますよ!」ってことじゃないですか(笑) これってすごく当たり前のことでしょ? これだけはまず避けたいと。そういう思いがまずあって(微笑) で、レコーディングスタジオでまずスケッチを始めるわけですよ。 こんなギター出来ないかな?って。 ところが、ネックから刀を出そうとしたら、ネックが曲がっちゃうんですよね。 刀って反りがあるから。仕込みギターってのは誰しも考えるじゃないですか? ところが(刀を入れようと思ったら)どうしてもネックが曲がってしまうんですよ。 どうしようかな〜?なんて。 それで、友人の特撮映画監督であり、イラストレイターでもある雨宮慶太さんに相談しまして。 で、そこから今度ダブルネックっていうアイディアが出てくるわけですよ。 そしてその自分のコンセプトデザインと雨宮さんのコンセプトデザインを元に、今度はESPさんに話を持ち込んで、 「これを作れるのはESPしかいない!」って話になってきて(笑) こんなギターできませんかね?っていうアイディアから、ダブルネックのアイディアをもっと煮詰めていって、最終的に今の斬新なアイディアになっていったんです。 このギターのデザインイメージとしては、僕のイメージとして天使と悪魔というイメージがあるんです。 「必殺仕事人」まではヒーローの役しかやったことがない、高校教師以降は割と悪魔っぽいヒールな役をやってきた。 その両方のイメージを持ち合わしているお客様がたぶん多いんですよ。 「この人は絶対ヒーロー」「この人は絶対ダーティーヒーロー」みたいな。 それを分けたいといういうことで、このギターの下の方のデザインが全部悪魔的イメージ。義眼までつけて、それがボリュームノブになっちゃうという。ね? そうすると上の方にはそれに相対象なる光り輝くものを、天空のように持ってこようという話から、宝石を本物を入れてしまおうっていう話につながってくるわけですよ。 相対象を会わせている。すべて「光と影」なんですよね。 で、できあがってみたら、なんと2300万になってしまいました、みたいな(笑) これ、誰が持って歩くんだって話になっちゃってますが(笑) でも、ギター少年の心をいまだに持っている自分としては、ESPさんにお願いして、こういうギターを作っていただいて、もう、嬉しくてしょうがないですよね(微笑) 当時はそんなことできなかったわけじゃないですか! ガットギターにピックガードを付けるところから始まってるわけですから(笑) |
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冒頭でもふれたが、このインタビューは2004年8月20日、京本政樹氏16年振りの本格的ライブとなるZepp東京公演のドレッシングルームにて、昼の部と夜の部の合間という、超過密スケジュールを縫って行われた。インタビューするこちらが恐縮してしまうような超過酷なスケジュールにもかかわらず、疲れなど全く見せずに、目を輝かせながら音楽について、そしてギターについて熱く語ってくれた京本氏。 その目は、間違いなく「ギター少年」そのものであった。 これまで、数々のドラマ、時代劇出演などでおなじみの俳優=京本政樹氏であるが、そんな同氏のルーツは、やはりシンガーソングライターなのだとあらためて実感した次第である。 俳優として、そしてシンガーソングライターとして、常にエンターテイメントとは何かを考え、お客様を楽しませるということに対してどこまでもストイックに創作活動を続ける、「アーティスト=京本政樹」を垣間見た気がした。 なお、インタビューでもふれられていたが、最新シングル「薄桜記」が11月26日によりリリースされる。ニューアルバム「 苦悩 〜Peine〜 」に収録され、大反響を呼んだ同曲が、NEWアレンジによってさらなる進化を遂げている! シンガーソングライターとしても、京本政樹から目が離せない! |
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取材と文・ESP |
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