品名:ESP ECLIPSE S-II
通称:初代S-II
PRODUCE:SUGIZO  T,Shinji (ESP)
製造:1996年6月
製作者:Wood Craft - K,Imano (ESP Craft House)
    Paint - O,Sekine (ESP Craft House)
    Build Up - T,Shinji (ESP)


BODY:
Selected Alder
NECK:
Maple / Ebony , 24Frets
SCALE:
24 3/4
JOINT:
Neck-thru-body
PICKUPS:
EMG SA , EMG 81
BRIDGE:
Original Floyd Rose
CONTROL:
1Volume
3Way Pickup Selector, Direct sw



 1996年6月、都内某スタジオでは、先日発売されたばかりのニューアルバム『STYLE』の楽曲たちのLIVEリハーサルが進められていた。どれもつぶぞろいの新曲たちの中で、過去の楽曲に比べても、ひときわHeavy Bottomの新曲があった。『1999』である。このころのLUNA SEAの楽曲たちは、ほとんどがレギュラーチューニング(6弦からE,A,D,G,B,Eとチューニングする普通のギターチューニング)でプレイされている中で、めずらしく1音さげ(6弦からD,G,C,F,A,D)でプレイされ、今までにないほどタイトな重低音がここちよい楽曲であった。
SUGIZOはこの『1999』には、かつてのPR-2のようにハムバッキン
グタイプのピックアップがついたECLIPSEが必要と考えた。

シングルコイルを好むSUGIZOではあるが、楽曲がハムバッキングタイプのピックアップを呼んだ。

初代S-IIのボディー裏側。バッテリーザグリが9V電池2個分のスペースで彫られているが、開発当初は別回路のブースターを入れる可能性があった為、このようになっている。
実際には電池は1個しか使用されていない。

大成功に終わった初の東京ドーム『LUNATIC TOKYO』の時、SUGIZOはロングスケールのS-I1本でほとんどの楽曲をこなしていた。というか、この時のECLIPSEは、まだ3シングルのモデル1機種のみであった。
その後ECLIPSEがミディアムスケールに変更されたとき、SUGIZOは今までの3シングルのモデルを『S-I』と命名した。そのほかに『S-II』、『S-III』のラインナップが完成したのも、このときである。『S-II』と命名されたハムバッキングピックアップのECLIPSEは、フロントピックアップにEMG-SAと、リアピックアップにEMG-81 が搭載された。このピックアップのチョイスはSUGIZO にとってPR-2のときからと同じもので、LIVEで最も使い馴れたものといえよう。 そしてこのギターは完成し、さっそく『1999』のリハーサルに 使われて、曲の仕上がりは完成を迎える。狙いどうり、エッジ のきいたEMG-81のディストーションサウンドは、すぐさま曲 にとけこんでいった。余談ではあるが、この『1999』には INORANもJも、かなりギター・ベースに実験的なアプローチ が試みられ、バンド全体でのサウンドメイクは、妥協をしない LUNA SEAならではのクオリティーの高さで仕上がりを見せた。 そして、この年の『UNENDING STYLE』TOURでは、この 『1999』と『IN FUTURE』 の2曲でこのS-IIが使用された。


Writer - Takashi Shinji

初代 S-IIのピックアップ。ごらんのようにフロントピックアップに EMG-SAと、リアピックアップにEMG-81が搭載されている。EMG ピックアップは、ピックアップの中にプリアンプが内蔵されており、 ローインピーダンスでノイズが極めて少なく、ピックアップ自体の 磁力も弱いので、サスティーンがよい。フロントのEMG-SAは初期 のS-Iにも使われていたもので、リアのEMG-81はEMGのなかでも、 ディストーションサウンドを基本にした、ハイゲインタイプのピック アップである。どちらもギターに搭載する場合は9V電池を1個必要 とする。 バッテリーパネルに小さな穴が2ケ所開いているが、これはパネルを開けずに、テスターの端子を穴から突っ込み、バ ッテリー電圧をチェック出来るように、ギターテックのアイデアで開けられたもの。