ACTION! 25th Anniversary SPECIAL INTERVIEW




2007年。ACTION結成25周年、そして「ACTION!100,000VOLT」30周年という節目の年に、記念すべきNEWアルバムが完成!その名も「Mystic Blue」。
去年電撃復活したオリジナルメンバーである"伝説のドラマー"秋田鋭次郎氏がついにレコーディング!
また高橋ヨシロウ氏と大谷ケイイチ氏のBASS競演!?
ウルトラマンマックスで披露されていた「あの曲」も!
さらには「ACTION!100,000VOLT」が新たに録音!という話題満載のNEWアルバムである。
さらになんと!アルバムの裏ジャケットではACTIONとESPとのコラボレーションが実現!
前回のYOSHIROW氏インタビューに続き、今回はなんとYOSHIROW氏とTAKECHIYO氏お二人でのインタビューがついに実現!
謎に包まれたNEWアルバムの実像に迫る!!

ESP:ACTION結成25周年、そして「ACTION!100,000VOLT」30周年という節目の年に、記念すべきアルバムがついに完成ですね!
制作期間はどのくらいでしたか?

YOSHIROW:ざっと5ヶ月くらいですね。でも途中で何も作業しない期間もあったんですよ。
やはり判断力がね。一挙にやっちゃうとそのときだけの判断力になってしまうんで。
冷静になる時間が欲しかったんです。自分たちの音を客観的に聞けるようにね。

ESP:なるほど。さて、早速今回のアルバムを聞かせていただいたんですが、各楽曲の完成度の高さはもちろんですが、曲順や曲間に至るまでアルバムの最初から最後まで一本筋が通っていてまるでライブを見ているような感覚になりました。
「この曲の後にこの曲!」という流れも素晴らしいと思います。これはやはり計算されたものなんですか?

YOSHIROW:考えましたね。曲順はこうしようとか、曲間はここをツメようとか、歌詞の載せ替えも当日したりしました。

ESP:歌詞の載せ替えも???

YOSHIROW:やはりアルバム全体を見て、という判断ですね。

ESP:なるほど。すごく印象に残ったのが、ますますセクシーさを増したYOSHIROWさんのボーカルと、KEIICHIさんのワイルドな「ツインボーカル」もACTIONというバンドの個性をすごく際立たせていると思います。

YOSHIROW:ええ。もう「善」と「悪」ですから(笑)・・・・・「天使」と「悪魔」!!!(笑)

一同:(笑)

ESP:また、ギターメーカーとして見逃せないのがTAKECHIYOさんの流麗なギタープレイです。
ツボを得たメロディアスなラインがたまりません。特に変幻自在のアーミングがカッコイイですね!!
楽曲にすごく彩りを加えてらっしゃいます。

TAKECHIYO:ありがとうございます。。。

YOSHIROW:・・・・・ESPさんにいくら渡した!?(笑)

一同:(笑)

ESP:いえいえそんなっ!そんな!何ももらってません(笑)

YOSHIROW:やはりESPさんのギターがいいからですよ!!

ESP:ありがとうございます!!
ではレコーディングで使用したギターはどのモデルですか???

TAKECHIYO:ESPのHORIZONです。今回はほとんどこれ1本ですね。

林:ESP HORIZONのカスタマイズモデルです。カラーは紫です。


2007.11.17 OSAKA BIGCATにて


TAKECHIYO:深みのある良い色ですよ。

林:HORIZONはどちらかというとトラディショナルなデザインなんですが、やはりロックなイメージということで「ちょっと派手めで、でも渋い!」という紫なんですよ。

YOSHIROW:アルバムのイメージにも近いよね。ジャケットデザインにも近いし。

ESP:ではYOSHIROWさんはどのギターをご使用になられたのですか???

YOSHIROW:決まってるじゃないですか!!!SLAVE-I Gですよ!


2007.11.17 OSAKA BIGCATにて


ESP:ありがとうございます!!!ACTIONは昔からですが、今回もまたギターのトーンが素晴らしいです。
楽器のオイシイ部分が出ている音ですよね。
もちろん楽器自体の音や録音の仕方もあると思いますが、やはりギタートーンはやはりピッキングが大事だと思うんです。

YOSHIROW:ピッキングはね。うん。

林:・・・・・・・・・・・・・さすが「ベテラン!」という。

一同:(笑)

YOSHIROW:いま一言で終わらせたなぁ(笑)

ESP:そこをもっと広げようと思ったのに・・・(笑)
でも、本当にギターのトーンが活き活きしていて、「これぞバンドサウンド!」というイメージです。

YOSHIROW:うん。それが今回の狙いとするところで。
作っていくと気がつかないうちにだんだん作り込んでしまったりとか、だんだん平面的になっていくじゃないですか。
それを避けるためにオーバーダビングをできるだけ減らして、目の前で演奏しているような、
スタジオ盤なんだけど目の前でやっているようなものを目指したんです。

ESP:音が立体的ですよね。ここまでオーバーダビングが少ないと、各楽器の音がしっかり太くないと成立しませんよね。
今回のアルバム、こんなにオーバーダビングが少ないのに音がすごくファットなのがすごいです!

YOSHIROW:でもオーバーダビングが少ない方が楽器の持ち味が活きてくると思うんですね。隙間を埋めていくとだんだんディティールの輪郭がボヤけてくるんですよ。ドラムとかベース、ギターの隙間をしっかり作ってあげて、その楽器の存在感みたいなものが最大限に活きるようにね。

ESP:でもこういう音は、なかなか出せないですよ。

YOSHIROW:まあ現代の音楽へのアンチテーゼとして。

ESP:たしかに現代の音楽は音圧重視ですべてのサウンドの隙間を埋めるかのごとく「壁」のような音になっている風潮もありますよね。それはそれでカッコイイんですが、、、でもだからこそ逆に、今回のアルバムのように立体感があってこちらに迫ってくるような音像はすごく新鮮でした。

YOSHIROW:まさにそれを目指しました。ベースの音も、昔ながらのハードロックのベースの音で。ライブで出しているような音。アンプでドライブさせた音ですね。

ESP:ベースもほんとうにブッ太いですよね!!ひとつひとつの楽器の音がすごく良くて。。。あと、ドラムサウンドも素晴らしいです!
スネア一発の切れ味から、ぐわんぐわんロールする感じがたまりませんよ。

YOSHIROW:これが秋田鋭次郎ですね。当時からの職人気質ですよねぇ。

ESP:このドライヴする感じ、グルーブ感のあるドラムっていうのはもう理屈抜きで気持ちよくなります。

YOSHIROW:うん・・・・・もうね・・・・・アイツも草葉の陰から・・・涙。

一同:いえいえいえ!!全然お元気でらっしゃいますから!!(笑)

ESP:それにしても、YOSHIROWさんのメロディセンスにあらためて脱帽しました。今回作曲するにあたって、特に考えていたことってありますか???

YOSHIROW:いやもう普段通り。昔っからの。僕が目指している「日本のメロディアスハードロック」ですね。

ESP:さすが一貫してますね。これは個人的な印象なんですが、このアルバムのラストに「ACTION!100,000VOLT」の新録音が収録されていますが、30年前に書かれて今では日本のハードロックのスタンダード曲として広く認知されている楽曲であるにも関わらず、今回のアルバムの最新のACTIONの楽曲と並べて聞いても、意外なほどに違和感がなく、むしろ自然な感じさえしました。ACTIONの楽曲の持つ普遍性というものをあらためて感じた次第です。
ところで、今回「ACTION!100,000VOLT」を新録音で収録することになったのはどういう流れからですか?

YOSHIROW:やはりこの曲が誕生して30周年なんで入れたいなと。それともうひとつ、今までのレコーディングで、原型の100,000VOLTがなかったんですよ。デビュー当時とか、やっぱり僕も今の半分に近い年齢だったんで、周りのオトナの人たちが「あーしたらこーしたら」と言う中でアレンジなんかも変わっていったところがあって。
自分が山水館というアマチュア時代に作った100,000VOLTの原型に一番近いものを30周年記念に入れようと思ったんです。

ESP:そうだったんですか。30年前に、この曲はどういう風に誕生したのですか?

YOSHIROW:いやもう、「日本のハードロックを作りたい!」ということですね。
今でこそ当たり前ですが、当時はまだ日本語のロックっていうのがバカにされていた時代で。
ましてや振り付けなんてやった日には、当時の諸先輩方には邪道とか言われました。「何媚びてるんだ!」みたいな。
こっちは媚びてるもなにも、日本のロックを作りたいんだから。
お客さんはほとんどが日本人だし。日本語圏内で演奏することを前提としていますから。
今でこそ日本語のロックが当たり前になってますけど、昔は叩かれる時期もありました。

林:リアルタイムを知っている僕としては、ACTIONを初めて見たときはびっくりしましたよ。こういう切り口はなかったですよね。

YOSHIROW:でも難しかったですよ。100,000VOLTみたいなポップな曲は、なかなか許されなかったですね。でもあえてそこで「日本のロックを作るんだ!」という。カッコよくて楽しくてっていう、ね。
作曲方法としては100,000VOLTはベースとピアノで作った曲なんです。部分によってはピアノで弾いたりとか。

ESP:ピアノで作ったというのは意外でした。100,000VOLTについては今回のアルバムのラストに収録されているということで、後ほどあらためてまたお聞きしたいと思います。
さて、ここでTAKECHIYOさんにお話をお伺いします。TAKECHIYOさんは最初にACTIONを知ったのはいつだったのでしょう?

TAKECHIYO:もう最初からですね。もともと僕はNOVELAのファンだったので、ACTION結成当時からずっと見ていました。

YOSHIROW:TAKECHIYOはね、もともとNOVELA時代の僕のストーカーで(笑)

TAKECHIYO:ほぼストーカーです(笑)

ESP:ストーカーだったんですかっ!!!(笑)

YOSHIROW:神戸の街をブラブラしているときに後を付けていたりとか(笑)

TAKECHIYO:握手してもらいました(笑)

YOSHIROW:あと彼がやっていたバンドのベースが僕の弟子だったんですよ。

ESP:じゃあ当時からずっとYOSHIROWさんのそばにいらっしゃったんですね。

TAKECHIYO:そうですね。ほんとにコピーをしてましたし、ライブも見に行ってました。

ESP:そうだったんですか。ちなみにギターを始めたきっかけは???

TAKECHIYO:きっかけは従兄弟の家に遊びに行ったときに、部屋にフォークギターが置いてあって。それを触らせてもらって、ギターって面白いなあっていう。その後中学の時にエレキギターを買って真剣にバンドをやり出したんですけど、高校に入ってからNOVELAに出会ったんです。すごく衝撃を受けて。「これからNOVELAのコピーをやるんだ!」と思ってコピーバンドをやっていました。

ESP:最初はファンから、そして最終的にはACTIONのメンバーになってしまうなんて、すごいですよね。。。。

TAKECHIYO:夢のような・・・本当に夢のような話です。

YOSHIROW:・・・・・・ホントは地獄なんやろ???(笑)

一同:(笑)

ESP:では影響を受けたアーティストというと。。。

TAKECHIYO:もちろんYOSHIROWさんです。ACTIONでいろんなこと指導してもらって、ホントにね、、、やさしいんですよYOSHIROWさん。

ESP:そこのところぜひお伺いしたいです。どういう風にやさしいんですか?

TAKECHIYO:YOSHIROWさんが持ってる、ホントだったら隠したくなるようなすごい知識や技を、、、惜しげもなく僕に教えてくれて。
本当にすごく影響を受けてます。

ESP:いやいや、すばらしい師弟関係ですね。
さて、ここで今回のアルバムの目玉のひとつ、YOSHIROWさんとKEIICHIさんのベース競演!?という怪情報なんですが、これはどういういきさつで???

YOSHIROW:やはり結成25周年という、まあ縁起ものであり、記念でもあり。KEIICHIからもリクエストがあったので。

ESP:この企画、本当にありそうでなかった感じですよね。ファンの皆さんもすごく楽しみになさっていると思います。
でも、一体どの曲なのかはアルバムを聴いてのお楽しみということで♪
さて、ここでYOSHIROWさんにお聞きします。
YOSHIROWさんから見て、KEIICHIさんというのは、どういうベーシストなんでしょう?

YOSHIROW:あのね、全然タイプが違うんですよ。そういう意味ではホントに面白いですよ。

ESP:ではYOSHIROWさんが曲を作って渡してKEIICHIさんがそれにベースを付けると、YOSHIROWさんが想像していたものとは全然違う感じだったりするんですか?

YOSHIROW:そう。そのときはもうね、ライバルになりますから。

ESP:おお!

YOSHIROW:そのときは「ベーシスト=高橋ヨシロウ」になってますから。
同じベーシストとしてタイプが全然違うから「こう来るか!」っていうのがすごく面白いですよ。

ESP:なるほど。ではYOSHIROWさんから見てEIJIROWさんというのは???

YOSHIROW:いやあもう最高のパートナーですよね。
何よりEIJIROWとはもう出身から一緒ですからね。同じ土地、同じ産院で生まれてっていう。
全部偶然なんですが、同じ学校行って、一緒にデビューして。そのときに、二人でリズムセクションをやってた仲ですから。
ものすごい勝手知ったるドラマーなんで、やりやすいですよ。
なので今回81年以来、26年ぶりに彼がドラムで僕がベースでっていうのを、、、、、もう感無量ですよ。
26年ぶりにスタジオに入るというのが。
ツー!と言えばカー!という感じですね。EIJIROWとの関係は。


本当に・・・・・・・・・・・・・・・・・・困った良いヤツです(笑)



一同:・・・・・・困ってるんですかっ!!(笑)

ESP:なんとも熱い男同士のお話です。。。さて、ではYOSHIROWさんから見てTAKECHIYOさんというのは???

YOSHIROW:あのね、叩けば叩くほどね、出てくるんですよ。ネタが。
彼は人が優しいんですよ。だからその奥底に眠る「欲望と悪のカタマリ」をね(笑)
それが出てきたときに良いソロ弾くんですよ。
たとえば「この曲のこのソロを考えてきて」って言ったときに、すごく真面目なギターソロを弾くんですね。
で、悪くはないんですよ。
でも、「もっとオレを揺らしてくれ!!!」とか、
「もっとチカラとか色気とかを、もっとオレにぶっちゃけて来い!!!」とか話して
「それ!!それ!!!」っていうのが出てくるまで、何回も「NO!NO!」って言って。
宝探しみたいなものですね。

ESP:すごいですねえ。もちろん一定のレベルはクリアしているのにもっと上!もっと上!という感じなんですか?

YOSHIROW:ええ。どうしてもギタリストっていうのは「ギタリスト的に」ものごとを一方向に考えるんで、「ギタリスト的なソロ」になってしまうんですね。僕はそんなの求めてない。
楽曲の中で、どうそのフレーズが生きるか。
与えられた小節数の中で、ギタリストが勝手に気持ちいいソロが延々と続くなんてのはもう、今僕らがやる音楽じゃないと思ってるんで。
そういうのはそういう人たちに任しておけばいい。
ACTIONとしては楽曲の中でそのギターがどう生きてくるかっていう、リフひとつとっても、この曲に必要なものは何だろうっていう。
それで僕はよく言うんですけど、技術とかそういうのは、表現をするための「ツール」であって、「その技術が全面に出てはいけない」、と。
「楽器というのは表現するための武器である」、と。
だから、ギターソロも歌メロの流れで考えるもの、別モンであってはいけないと。
ひとつの作品の中でそのパートがどう生きるか、ということです。
それで作品の印象が変わってきますからね。

ESP:大変に勉強になるお話です。
YOSHIROWさんは本当にプロデューサーですね。
しかしプロデューサーでありながら、作詞・作曲・編曲の作家であると同時に、歌手でありギタリストでありベーシストでもあるというすごい肩書きになっておりますが・・・・・・・・・

YOSHIROW:そうですね(笑)
僕は音楽を全体でとらえてますから。どれでもないんですよね。まあ一応音楽家で、ひとつの音楽を作っていくっていう。あくまでもそのために必要なものがギターだったらギターを弾く、ベースだったらベースを弾く、歌うなら歌うっていうことを使い分けているだけで。
あと、バンドの中では一番俯瞰で物事を見れるようにして、たとえばギターのアレンジでもどのフレーズがバイオリンに当たって、どのフレーズがヴィオラやチェロに当たるのかっていうことを見る役割ですね。ギターひとつでもいろんな表現ができると思うんです。

ESP:すごいですねえ。。。TAKECHIYOさんから見て、プロデューサーYOSHIROWさんというのは???

TAKECHIYO:やっぱりレンズをいっぱい持っていて全体を見る能力っていうのは一際優れていると思います。僕なんかギターソロを作るときでも、ついついそこにばっかり集中してしまって、のめり込んでしまって、全体が見えなくなってしまう場合があるんですけど、そういうときにYOSHIROWさんがちゃんと方向を正してくれるんです。

ESP:なるほど。

TAKECHIYO:名プロデューサーです!!

YOSHIROW:・・・・・千円でいいか???(笑)

一同:(笑)

ESP:いやいやいや、でも完成したこのアルバム、まさに節目のアルバムと呼ぶにふさわしい素晴らしい完成度です。理屈抜きにに聞いていて気持ちいい音なんですよ。

林:僕が思うには、隙間がいいですよね。あまり詰まってない感じ。隙間が多いと、演奏する方はものすごい不安じゃないですか。そこをあえてその部分はとっておくというような。

YOSHIROW:隙間があった方がね、一個一個の音の響きが聞こえるんですよ。埋めちゃうとせっかくの響きが聞こえなくなってしまうんですよ。ベチャッとなってマスキングされてしまうんで。隙間があるとリズムも張ってくるし、楽器の個性も出てくるしね。

ESP:では、ここで、気になるNEWアルバムを一曲ずつ解説していただけますでしょうか。
まずなんと言ってもこの一曲目。「誘惑の罠〜YABAI~」という、もうタイトル見ただけで気になりすぎなんですが(笑)
オープニングのシャッフルから印象的です。

YOSHIROW:シャッフルと4ビート感をどうしても出したくて。全部シャッフルでやっちゃうのではなくて、シャッフルと4ビートのノリをうまーくね。あんまり他のハードロックバンド、こういうのやらないと思うんで。

ESP:まさにこのNEWアルバムの「禁断の蜜の味」へと誘う「誘惑の罠」ですね!!「こう来るか!」という。
逆に二曲目の「愛を感じて」は「ACTIONだ!」という感じを受けました。また、曲のつながりも「おお!ライブだ!」という印象を受けました。

YOSHIROW:そう言うっていただくと大成功!ですね(笑)

ESP:この曲、中間部も凝ってますよね。

YOSHIROW:あれもやりすぎると重たくなるんですよ。

ESP:絶妙なさじ加減のアレンジ展開ですよね。

YOSHIROW:やっぱり人間が集中して聞けるのは4分か5分だと思うんで。もうちょい聞きたい!くらいで終わった方がいいと思うんです。

ESP:なるほど。そうするともう一回頭から聞いちゃう!みたいな。このサビとかも「一緒に歌える!」というアクションらしさが炸裂してますよね。

YOSHIROW:それが昔からの、僕の想いですから。
でも長い間やってる間では、それが軟弱と呼ばれる時期もあったし、いろいろ叩かれましたよ。
でも、僕がやりたいことは一緒なんですよ。昔から、そして今も一貫してね。
たまたまその途中にヘヴィーメタルブームとかいろんなブームが来たりしただけで、
ただ自分がやりたいことをやっているだけなのに、勝手に叩かれたりするんですよね。
「ACTIONは軟弱や!」とか、ね。
でも「オレたちはヘビメタじゃない!」と(笑)
「自分たちは日本のハードロックバンドを目指しているんだ!!」ということなんですよね。

ESP:たしかにあの時代、いわゆるジャパメタブームの中に入れられてしまっていましたよね。
でも、明らかに他のバンドとは一線を画した存在だったと思います。それは今も変わらず一貫してらっしゃいますね。

YOSHIROW:日本のハードロックをずっと模索していたわけですよ。日本のロックはどういうものが完成なのか。まあ永遠に完成はしないものだろうとは思うんですが、それをずっと追い求めてるんです。

ESP:すごいお話です。まだまだ模索しているということなんですね。それでは3曲目「ちょっと気まずいね」ですが、これはかなり細かいキメがありますね。それにしてもオーバーダビングが少ないですね。

林:普通だったら歌メロのバックにさみしくていろいろ入れてしまうかもしれません。

YOSHIROW:まあすごいスピードで走る車がゆっくり走っている不気味さ、みたいなのを狙いましたね。実はこの曲ではもともとあったアウトロを削ってしまったんですよ。

ESP:当初入っていたアウトロを削ってしまったとは!先ほどの楽曲重視のお話に通ずる部分です。
さてそして「WILD SIDE〜DIRTY!」
いいですよね〜、このKEIICHIさんの「極悪」な感じが(笑)

YOSHIROW:極悪ボイス(笑)でも根はすごく良いヤツなんですよ。

林:期待を裏切らないっていう(笑)

YOSHIROW:そうそう(笑)

ESP:YOSHIROWさんは作曲段階から、この曲はKEIICHIさんに歌ってもらおうという想定で作ってらっしゃるんですか?

YOSHIROW:最初はそうでもないんですよ。でも作っているうちに「これはやっぱり番長だ!」という感じになるんです。(ESP注:番長とはKEIICHI氏のこと)

ESP:なるほど。それにしてもグルーブがスゴすぎです。

YOSHIROW:ドラミングもイアン・ペイスばりでしょ。

ESP:本当ですね。この曲もライブで燃え上がりそうですね。さて、続いて「月下の魔性」です。私は今回のアルバムで個人的にこれがハイライトだと感じました。ミステリアスな感じがたまりません!

YOSHIROW:ああ。まあリズムの変化もありますしね。

林:このベースラインはYOSHIROWさんが作曲したときからイメージがあったんですか?

YOSHIROW:うん。あとジャケットもこの曲のイメージになってるんですよ。

ESP:それにしてもこのベースラインが印象的ですよね。

林:バックは淡々としているところでベースが動いているという。

ESP:ほんとに「これこそバンド!」という感じですね。

YOSHIROW:でも秋田鋭次郎の存在は大きいですね。バンドってお互いがお互いに触発されるんですよ。化学反応というか。
彼のドラムによって、ベースが触発され、それを受けてギター、ボーカルがそれに乗ってくると「よっしゃ!」ってなるっていう。
たとえば次の「嵐の空へ」も、僕がボーカルをレコーディングしたあとでTAKECHIYOが「ギターソロをもう一回弾かせてください!」ということがあって。

ESP:それはレコーディングの順番としては、まずオケを録ってから最後にボーカルを入れるわけですよね?TAKECHIYOさんがまずソロを弾いて、その後YOSHIROWさんが歌ったときに、その歌を聴いて・・・

TAKECHIYO:このソロじゃダメだ〜!って思ったんです。

ESP:おお!

YOSHIROW:特にこのバラードは、わざと時代をさかのぼった音作りをしよう、と。ギターも本当だったらももっと歪ませた方が本人も弾きやすいだろうけど、わざと歪みの少ないカッコイイ音にして。バックもオーバーダビングほとんどなしなんですよ。

ESP:いやあ。。。このアンサンブルは、一つ一つの音が本当にしっかりしてないと成立しませんよね。

YOSHIROW:やっぱりゴマカシ聞かないのと、できるだけノイズを殺さなくちゃいけないのと。ちょっとしたミスで、すぐ崩れますから。でもあんまりオシャレにしすぎると現代の音楽になっちゃうから。ちょっと昔風にしたかったんですよ。

ESP:だってほんとにギター1本とベースとドラムしか鳴ってませんよ?それなのに、音が足りないような感じがありません。キーボードとか欲しいと思いません。

YOSHIROW:普通入れたくなるでしょ???隙間に。でもせつなさとかそういうものを、音を重ねて作るんじゃなくて、本当にシンプルにね。作っていけないかなあと思って。でもリバーブはこだわって何種類か駆使してますよ。

ESP:さて、次の「NOT SO BAD」ですが、この曲はウルトラマンマックスで使用されていた曲ですよね?

YOSHIROW:劇中でこの曲が怪獣を呼ぶという話があるんですよ。

ESP:怪獣を呼んじゃうんですかっ!!(笑)

YOSHIROW:呼ぶというかまあ。聞きに来てくれるんですね怪獣が。ウルトラマンマックスのピンチを救うという。まあ地球を救いましたね(笑)

ESP:なんともすごい曲です(笑)曲調もまさにACTIONならではのハードポップですよね! あとやっぱりアームプレイがカッコイイです!

YOSHIROW:アームもやみくもにやるのでなくて、意味のあるカーブをつけたりすると味が出てきますよね。

ESP:なるほど。

林:TAKECHIYOさんのHORIZONのフロイドローズははもちろんフローティングしてあるんですが、チューニングの安定のために半固定になるようにHIPSHOT製のパーツを仕込んであります。チューニングの安定を求めつつ、細かいアーミングにも対応するというセッティングになっています。

TAKECHIYO:おかげでものすごくチューニング安定してます。

ESP:フロイドローズのセッティングは奥が深いですよね。さあそして「びびった…」です。またまた重低音極悪サウンドが鳴っておりますが(笑)

YOSHIROW:天使と悪魔です(笑)

ESP:ユニゾンだと音の周波数帯が合ってますよね。

YOSHIROW:これが意外と合うんですよ。表裏一体ですね。

ESP:これもライブでは「びびった…」の大合唱になりそうですね。

YOSHIROW:でも歌詞に「びびった…」って出てくるロックバンドいないんじゃないの???(笑)

ESP:曲のラストでベースがペグを回して音を下げているのもポイントですね!
さて、「THE PARTY」です。「びびった…」のあとにこの軽快なロケンローナンバーという。

YOSHIROW:この辺はゆさぶりですね。CDを買っていただいて聞いてもらった時、やっぱり曲を飛ばされるのがイヤなんで。全曲通して聞いて欲しいですから。

ESP:この曲のギターソロですが、コーラス系のエフェクターを使ってらっしゃいます???

TAKECHIYO:これは同じソロをうっすら重ねて弾いてるんです。

ESP:ダブリングですか!

YOSHIROW:よーく聞くと不思議な音というか、バグパイプみたいな違う楽器の音に聞こえてくるのを狙いました。

ESP:そういう仕掛けとかさすがですね。何回も聞くとそのたびに新しい発見があるアルバムだと思います。

YOSHIROW:ああそれ嬉しい!そう言っていただけると。

ESP:ファンの皆さんにこのインタビューを読んでいただくと、そうかあそこはダブリングだったのかと。

YOSHIROW:バレちゃう(笑)

ESP:さてさて、「JADE」です。こういう疾走マイナー系の曲、個人的に大好きなんですよ。あとYOSHIROWさんの書く女性の気持ちの歌詞ってすごいですよね。

YOSHIROW:煩悩のカタマリです(笑)

ESP:いやいやいや(笑)それにしても楽曲のアレンジもさすがですね。場面がパッパッパッ!と効果的に変わっていく感じです。

YOSHIROW:ジェットコースターのようなイメージですね。

ESP:そして・・・ついにこの曲が来てしまいました!!「ACTION!100,000VOLT」!!!

林:もう・・・これね・・・最高ですね!!!

ESP:やはり日本のロックのスタンダードですよね。今回は特にライブを感じさせるブッ太い音ですね。昔のバージョンはドラムだけになる中間部にフランジャーがかかってたのがすごく印象に残ってます。

YOSHIROW:ああ、あれね、フランジャーじゃないんですよ。

ESP:えっ?フランジャーじゃないんですか?

YOSHIROW:あれはね、位相を変えてるんですよ。それ専門のエンジニアがいるんですよ。あのときのミキサーさんがそれを得意とする人で。スレイブを作って、テンポを変えて両方流してツマミで位相を変えるんです。そのツマミも僕が回したんですよ。

ESP:すごい!!全然知りませんでした。

YOSHIROW:フランジャーでやったらあんな風にならない。

ESP:テープの時代のスゴ技ですね。

YOSHIROW:まあ今までそういうこといっぱいやってきたんでね、今はやっぱり楽器の持ち味をいかに出すか!っていうことに意識が行ってますね。
ほんとに自然体というか。

林:こういうセルフカバーって、内側へ入りすぎてやっぱり元の方がいいな、って正直思うことが多いんですけども・・・
今回のこのバージョンは、すごく良い意味で力が抜けていて。ものすごい余裕だなあって感じました。

YOSHIROW:それは気にしましたからね。セルフカバーって「前の方が良かった!」って言われがちなんで。
同じ楽曲だけどオリジナルとはまた違う味を出さなきゃいけないっていうことでね。

ESP:すごく生々しい、リアルな音ですよね。

YOSHIROW:今そこで演奏しているような音でっていう。

ESP:ぜひすべてのロックファンの皆さんに聞いてもらいたいですね。

YOSHIROW:本当ですね。こういうロックもあるんだよということを。

ESP:では最後に、もう山水館からNOVELA、そしてACTIONとずっとやり続けてらっしゃいますけども、
ズバリお聞きいたします。YOSHIROWさんにとって、100,000VOLTって何なのでしょう???

YOSHIROW:ああ・・・・・・・・・・もう、自分の、分身みたいなものですね。
この曲でアマチュア時代に有名になって。運命変えられましたからね。
この曲がなかったら、たぶん今の自分ないと思いますね。
分身というより、もしかしたら戦友かもしれませんね。一緒に戦ってきた、叩かれながらも戦ってきた戦友ですね。

ESP:なるほど。。。だからこそ、今回のアルバムに収録する意味はすごく大きいのですね。。。
本日はお忙しいところ大変貴重なお話をありがとうございました。



画像は2007年11月17日 OSAKA BIG CATでのライブショット。
なんとNEW ALBUMから全曲演奏していまうというド肝を抜く構成で会場を圧巻!
YOSHIROW氏のSLAVE-I G、TAKECHIYO氏のHORIZONも大活躍!
怒濤のステージで2007年を締めくくった。

さらに12/1からカラオケUGAで「誘惑の罠〜YABAI〜」「NOT SO BAD」が配信決定!!

詳しくはACTION!オフィシャルサイト 100000VOLT.COMまで




画像提供 ダイプロ・エックス
取材・文 Akihiro Sasaki(ESP)

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