画像・スイス ルツェルン
『What's the RELISH GUITARS』
レリッシュ・ギターズはシルヴァンの故郷であるスイスのルツェルンにてスタートした。最初から大きな工房などで製作していたわけではなく、本当に小さな納屋で開発をしていたそう。
まず最初に彼が注目したのは”ボディ”だ。完成したプロトタイプは従来のギターとは一味も二味も違う一線を画すとても独特なホロウ構造であった。それはアルミニウムで出来たフレームを硬質なベニヤ板で挟み込むというまず通常では考えられない仕様だ。しかし、それはどのギターにも無い独特の鳴り方と圧倒的なサスティンをもたらし、音色の自由度を大きく向上させた。
後に生まれた様々な機能を実現するうえで、この独特でユニークなホロウ構造は非常に欠かせないスペックとなっていく。
ネックはアルミ製の芯にボルトで固定されておりボディトップバックの薄いベニヤ板で接合部が隠されるようなジョイントになっている。これがボルト・オンとは思えないほどスムーズな弾き心地で非常に弾きやすい。
ネック材はメイプルで統一することに早くから決まっていたが、指板材に関してはかなり熟考したという。”ローズウッドとエボニーの長所を兼ね備えたもの”を追求した結果、選ばれたのは『バンブー』つまり”竹”だった。竹と言えば緑色の皮で覆われた日本ではありふれているあの竹を思い浮かべる方が多いだろうが、スイスのそれは茶褐色で強度がかなり高く、音響特性もかなり良い。さらには繁殖力が非常に高いため材不足の心配がない。環境保護の観点から見ても採用するのにうってつけの材だった。
また、かなり初期の段階から生み出されていた画期的な機能のひとつに、レバータイプやトグルタイプとは異なる、タッチ・センサー式のピックアップセレクターがある。センサーを内蔵したパネルに指先で触れるだけでピックアップを切り替える事が出来るとても画期的なシステムだ。そして、このシステムを組み込むためには大きなキャビティが必要になるわけだが、ここで先述した独自のホロー構造が活躍するのだった。
2015年、毎年ロサンゼルスにて開催されている”NAMM SHOW”にてレリッシュ・ギターズは大きな一歩を踏み出す事になる。『Jane』を世界に向けてお披露目したのだ。これが多くの人々の注目の的になり、その後日本を含む世界各国から注文が殺到することになる。今まで小さな納屋で製作を行ってきたのだが、製作が間に合わなくなったため郊外に本社を移し、より多くの生産を可能にする工房を建造している。そのかいあって新機種”Mary”の発表にこぎつける事が出来た。
このモデルのピックアップセレクターは従来の物を更にグレードアップさせ、コイルタップ含め17ウェイという驚きのスペックだ。そして、2018年には誰でも簡単にピックアップを交換できるシステム『Plug'n Play Pickup Swapping System』を開発。
現在レリッシュ・ギターズはシルヴァンと製作チーム合わせて合計7人体制で製作している。ラインナップは大きく分けて”Jane”と"Mary"と”Mary ONE”の大きく分けて3種類あり、各モデルスペックに共通しているところは多いがボディ形状やトップ材の組み合わせによってさらに細分化されている。