世界初のエレクトリック・ギターと言えば、1930年代にスイス生まれアメリカ育ちのアドルフ・リッケンバッカーによって開発された”Flying Pan”が有名だろう。当時はまだまだ発展途上であったが数年の間に急成長を遂げた。実はフルアコ―スティック・ギターの先駆けの様なモデルもこの頃多く登場し、ギター業界に革命を起こした時代ではないだろうか。
現代ではポピュラーな楽器として多くのプレイヤーがあらゆる楽器メーカーのギター・ベースを使用しているが、またしてもスイス人の手によって楽器業界に新たなスタンダードとなるモデルが生まれた。
今回はそんな革命家ともいえる『シルヴァン・クング』が設立した『RELISH GUITARS』をご紹介しよう。
画像・スイス ルツェルン
『What's the RELISH GUITARS』
レリッシュ・ギターズはシルヴァンの故郷であるスイスのルツェルンにてスタートした。最初から大きな工房などで製作していたわけではなく、本当に小さな納屋で開発をしていたそう。
まず最初に彼が注目したのは”ボディ”だ。完成したプロトタイプは従来のギターとは一味も二味も違う一線を画すとても独特なホロウ構造であった。それはアルミニウムで出来たフレームを硬質なベニヤ板で挟み込むというまず通常では考えられない仕様だ。しかし、それはどのギターにも無い独特の鳴り方と圧倒的なサスティンをもたらし、音色の自由度を大きく向上させた。
後に生まれた様々な機能を実現するうえで、この独特でユニークなホロウ構造は非常に欠かせないスペックとなっていく。
ネックはアルミ製の芯にボルトで固定されておりボディトップバックの薄いベニヤ板で接合部が隠されるようなジョイントになっている。これがボルト・オンとは思えないほどスムーズな弾き心地で非常に弾きやすい。
ネック材はメイプルで統一することに早くから決まっていたが、指板材に関してはかなり熟考したという。”ローズウッドとエボニーの長所を兼ね備えたもの”を追求した結果、選ばれたのは『バンブー』つまり”竹”だった。竹と言えば緑色の皮で覆われた日本ではありふれているあの竹を思い浮かべる方が多いだろうが、スイスのそれは茶褐色で強度がかなり高く、音響特性もかなり良い。さらには繁殖力が非常に高いため材不足の心配がない。環境保護の観点から見ても採用するのにうってつけの材だった。
また、かなり初期の段階から生み出されていた画期的な機能のひとつに、レバータイプやトグルタイプとは異なる、タッチ・センサー式のピックアップセレクターがある。センサーを内蔵したパネルに指先で触れるだけでピックアップを切り替える事が出来るとても画期的なシステムだ。そして、このシステムを組み込むためには大きなキャビティが必要になるわけだが、ここで先述した独自のホロー構造が活躍するのだった。
2015年、毎年ロサンゼルスにて開催されている”NAMM SHOW”にてレリッシュ・ギターズは大きな一歩を踏み出す事になる。『Jane』を世界に向けてお披露目したのだ。これが多くの人々の注目の的になり、その後日本を含む世界各国から注文が殺到することになる。今まで小さな納屋で製作を行ってきたのだが、製作が間に合わなくなったため郊外に本社を移し、より多くの生産を可能にする工房を建造している。そのかいあって新機種”Mary”の発表にこぎつける事が出来た。
このモデルのピックアップセレクターは従来の物を更にグレードアップさせ、コイルタップ含め17ウェイという驚きのスペックだ。そして、2018年には誰でも簡単にピックアップを交換できるシステム『Plug'n Play Pickup Swapping System』を開発。
現在レリッシュ・ギターズはシルヴァンと製作チーム合わせて合計7人体制で製作している。ラインナップは大きく分けて”Jane”と"Mary"と”Mary ONE”の大きく分けて3種類あり、各モデルスペックに共通しているところは多いがボディ形状やトップ材の組み合わせによってさらに細分化されている。
JANE
アーチトップになっている為、ボディはやや厚めに仕上がっている。トップ・バック材にはアッシュやフレイムメイプル、ウォルナットなど多彩だ。
Janeのホロー・スタイル・ボディは、そのアルミ・フレイムの表裏に、5層のトーンウッド・ベニアが装着される。
弦はブリッジとブリッジ下部にあるサステイン・バーを通り、アルミ・フレイムに留められるようになっている。
フレイムとネックはボルト固定され、弦とネックの両方の振動が直接フレイムに伝わる。
『MARY』
JANEと比較するとアルミ製のフレームを含めボディの厚みがかなり薄く仕上がっている。また、ボディバック面全体が外れるようになり内部が全て見えるようになった。ボディシェイプに関してもJANEとは異なっており、よりソリッドな感覚に近いサウンドにはなっているが木のニュアンスを感じることの出来る仕様だ。MaryとMary ONEのボディはJaneとは異なり、バックのベニアはマグネットで装着され、ゴム製リングによってフレイムと分離されている為、フレイム振動を妨げない。その結果、オープンでフルボディな音色となる。
『MARY ONE』
MARYから派生して誕生したMARY ONE。基本的なスペック等は同じだが、ボディトップにはベベルドカットを施しており、よりモダンなルックスに仕上がっている。トップ材もキルトメイプルやフレイムメイプルなどを使用しているモデルもあり、カラーリングも豊富だ。
『WOOD MARY』
"Wood Mary"は、3層からなるウッドボディに立体的にデザインされたハイセンスなボディシェイプを取り入れた、他に類を見ない革新的なエレキギター。
価格は控えめだが、フラッグシップモデル"Jane"とは全く別の設計・構造を取り入れており、単なるコストパフォーマンスモデルではない。
アルダー材から削りだした中層のウッドフレームをトップ・バック面を覆うウッドパネルで構成されるサンドイッチ構造の半空洞ボディ。
ネック・ブリッジといった振動を生み出す重要な部位をサウンドの核となるウッドフレームに直接マウント、トップ・バックパネルはインシュレーターの役割を果たすOリングとマグネットでジョイントさせる事で、外部からの影響を受ける事なく大きな生鳴りを実現している。
『全モデル共通スペック』
『指板』
全モデルに共通してバンブー(竹)を採用している。色合いはローズウッドに似ており、強度がかなり高く音響特性も良い。
フレットはJANEにはフリーダムカスタムギターリサーチのステンレス製の物を採用している。ピッキングのレスポンスもよく摩擦に対する耐久性が高いのも特徴だ。
MARY・MARY ONEには2019年より同社フリーダムカスタムギターリサーチのニッケル・シルバー製に変更されているが、それ以前のモデルにはステンレス製フレットが採用されている。
『スケール』
全モデル共通して650mmになっている。

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