ヘッド鳴りも積極的に弦振動にフィードバックしたい。その思いを形にした大きめのデザイン。ベースの硬い巻弦に負担をかける事のないペグ配置。そのペグはアルミシャフト・プラスティックノブの物が採用され、ボディとのバランスは良好だ。ヘッド角は試行錯誤を経て12度に決定された。曲がりにくい5弦のナット部での持ち上がりを軽減するためだ。その弦を支えるナットはフレットと同じ材質のニッケルシルバー製。クリアーな音が約束される。

滑りがよく、硬度の高いウェンジ。ナット部で240R、24F部で400Rの円錐Rにすることによって、低い弦高を可能にしている。また、指板エンドのスキャロップ加工により、24フレットを持つベースのスラップのしにくさを解決。フレットは音程感の良いミドル幅のハイタイプ。

メイプル、ウォルナット、バドゥクによるラミネートネックの構造は抜群。更に指板の下には全体強度確保の2本のカーボンロッドが埋め込まれ、ジョイント部のネック起きを防止する補強カーボンが2本加えられた、計4本のカーボンロッドにより、5弦の張力に耐えている。
ナット幅は46ミリに設計され、4弦ベースから持ち替えたときの違和感を軽減している。グリップは薄めのUシェイプに削られ、特にハイポジションでの親指が裏にまわるプレイスタイルを楽にしている。


6点止めボルトオンの強固なジョイント部。多弦ベースは親指が裏にまわるため、ヒールカットは必要ないという判断のもと人間工学に基づいたジョイント形状を実現した。

5弦ベースの鳴りを引き出すには大きなボディが必要であると言う事実。座ったプレイスタイルではコンパクトに作られた5弦ベースでは姿勢が悪くなり、長時間の演奏に支障をきたすと言うスタジオプレイヤーからの意見。結果として、センターオフセットにし、1弦側のボディ幅を広く取った大きめのデザインが完成した。大きさ故の音の抜けの悪さはボディを少々薄くすることで解決し、薄さによる音の量感の乏しさは硬質なウェンジでアルダーをサンドイッチすることで補正に成功した。
HALIBUTと言うネーミング、これは北海に生息する巨大カレイ「オヒョウ」の事だが、このベースの大きく、薄く、黒いと言うルックスに由来する。


仕上がったデザインにもまだ問題点が残った。ハイポジション演奏時に必然的に返った手首が1弦側のホーンにぶつかってしまうという問題。また、座ったボジションで膝に乗るボディのくびれ部分をバランス上もう少しネック側に持っていきたい。しかし、ボディシェイプでそれらを解決しようとすると、ホーンが細くなりすぎ強度が劣る上、ルックス上好ましくない。そこで必要な部分に必要なだけカットを入れる事となった。その他バックカット、エルボーカットを最小限入れる事でフィット感抜群のボディが完成されている。

ブリッジでのテンションを確保したいが、それにはブリッジ弦高を高くする必要がある。そうするとボディトップと弦の隙間が大きすぎ、スラッププル時に指が入りすぎる。ピックガードはこのベースには似合わない。この問題を解決したのが特赦な形状のアーチドトップの底面にブリッジを配置する事だったのである。二次的な効果として、スラップ演奏時の右肘の安定にも一役買っている。

�������ϵ���ͤǤ���

ブリッジにはGOTOH 206B-5(~2005年まで)を採用。このブリッジは、コマをロックできるため、コマ鳴りは皆無。しかし、このブリッジがメーカにて廃番になってしまった為、現在ではHIPSHOT® Style "A" Brassを採用。コマのロックは出来ないが、それぞれのコマを囲むようなプレートデザインの為、コマ鳴りはほぼしない。レギュラースタイルの4弦ベースに準じた19ミリピッチを基本に好みで変更可能。

HALIBUT用に開発されたオリジナル・アクティブ・コントロール・サーキットを内蔵。可変帯域は Bass 45Hz ±15dB、 Middle 450Hz ±10dB、 Treble 3kHz ±15dB。音質劣化を防ぐためバランサーは使用せず、2ボリュームコントロール仕様。視覚的に認識しやすいコントロール類の配置にも注目してほしい。

ボディエンド側の2つのストラップピンは、プレイスタイルによって選ぶ事によってベストなポジションを得られる。上側を使うとボディ、ネックがやや上を向くためストラップの長くする人に向いている。下側を使うとボディ、ネックが下を向くためストラップが短めで、ハイポジションを多用するプレイスタイルで無理が出ない。