ついに一人歩きを始めてしまった「薄桜記(さくらうた)」。 プロデューサーである大谷氏も是非この曲をアルバムに入れたいと言い出してしまったのである! しかし、アルバムは全12曲で完璧にバランスがとれてしまっている。そこで二人はどのような結論を出したのだろうか? |
<Vol.1からのつづき>
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ESP注:ブレスとは息継ぎのことで、メロディのどこでブレスするかというのもボーカルテクニックのひとつである。 |
でもそれをみんながオッケーって言うし、実際僕も聞いてみて、「あ、いいじゃない」って思いつつ、ほんとはもっと歌っておきたかったんですが、なんとなくそのままオッケーテイクにしちゃったんですよ。 でも、インストアライブをずっと続けていくうちに、自分で「歌心」っていうものをつかんでくるわけですよね。どこに感情のポイントをおくか、とか、想いがどんどん曲に入ってくるわけですね。 そうするとどんどん歌い方も変わってくるでしょ? それで、ビブラートの効かせ方にしても、歌のポイントのおきかたとか、アルバムバージョンで歌ったのとはどんどん変わってきている自分がいるわけですよ。それで、インストアライブを制作しているTBS側のスタッフからも、「今日のさくらうた、最高でしたよ!」とか言ってくれるときがあるわけですよ。 それで僕も「なんか掴んじゃいましたよ〜!」なんて言ってね(微笑) そこに、ちょうどシングルの話が降ってわいて来たわけなんです。 で、トライスクルのプロデューサーの海老根さんとお話している中で、当然「歌を録り直したい」っていう話になるわけです。そしたら、「どっちみちだったら、オケもやり直しましょうよ!」っていう話になりまして。 アルバムバージョンはバイオリンが4本しか入ってなかったんですよ。 アレンジとして、ギターのアルペジオ中心の雰囲気にして、例えば「かぐや姫」みたいな、あえて80年代調の雰囲気を狙ってたんですよね。アルバム全体の狙いとして、80年代を彷彿とさせるサウンドっていうポイントを狙ってたんで。 それでわざとギターのアルペジオを効かせて、バイオリンはあえて4本で、これはどちらかというと「さだまさし調」になるんですよね(笑)それはそれで僕は好きだったんですけど、今回はアレンジを変えてみようと。 案として2つあったんです。 大谷さんがやってくださったもともとのアレンジで、ファンの方は気に入っていただけたわけじゃないですか。このアレンジを、そんなに崩すべきじゃないんじゃないかなっていう。 あともう一つは、アルバムは80年代テイストで良かったんだけども、あんまりそればっかり言われてしまうので、シングルとなるにおいては、新しさというか、新しき中に80年代の香りがあってもいいんだけども、何かプラスアルファが必要だろうと。そうすると、全くアレンジテイストを変えてみるべきなのか、例えば新アレンジャーを連れてきて、大谷さんに監修をしていただきながらやっていく方法もあるだろうと。 この2つですごく悩んだんです。 <つづく> |
「薄桜記(さくらうた)」の一人歩きは大谷氏を巻き込むだけでは止まらず、京本政樹氏の芸能界のご友人の方々はもちろん、アルバムを聞いた全国のファンの皆様をもすっぽり巻き込んでしまったのである! 一度聞いたら耳を離れないメロディ。そして哀愁漂う詩の世界は、聞く者の心にそれぞれのドラマが浮かんでくるにちがいない。 これぞ、シンガーソングライター・京本政樹氏ならではのものと言えるだろう。 ファンの皆様からの強烈な反響にしっかりと手応えを感じた京本氏は、この曲をシングルカットすることを決意する。 そして、ついにESPの音楽レーベルであるトライスクルミュージックも「薄桜記(さくらうた)」の一人歩きにすっかり巻き込まれることになってしまったのである! しかしシングルカットに当たり、京本氏はまたも苦悩に陥ることになってしまう。 はたしてどのような決断が下されたのであろうか! 次回、神妙に待て! |
取材と文・ESP
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