インタビュー冒頭にて御本人がおっしゃっておられるとおり、まさに波瀾万丈のエピソード満載の凄まじい内容!
今回で6回目となるインタビューシリーズもついに最終回!
心してご覧いただきましょう!!



(前回からのつづき)



京本政樹:で、今度はまたギターの話なんですが、ESPの方ではイエローとブルーのギターがすでに出来てたんです。

このギターに「I LOVE YOU」っていう文字を入れるっていう話になってて、それを両方のギターに入れるっていう予定だったんです。

そのときに僕の宝石ブランドの「アシハラ」の社長さんがこの話にのってくださって、なんと2000万円の7キャラットのイエローダイヤを進呈してくださったんです。これをブルーのギターに付けましょうという話になったんです。



で、イエローのギターはどうしましょうって話になったときに、僕がステージ用に製作したアクセサリーで「京」の文字が宝石によって刻まれているというパライバとタンザナイトのペンダントがありまして、こっちにはこのパライバをそのまま移植しちゃおう!という話になったんです。



で、次の日には例の一日で書き上げた楽曲が出来てたんで、ESPスタッフにお願いして「I LOVE YOU」ってもう、書いちゃいましたか?って。

「いや、まだです」っていうので「ブルーのギターはI LOVE YOUでいいから、イエローの方にはまだ入れないでください!」と。



で、数時間後に「I Wish」という言葉を入れてくださいってお願いしたんです。
歌詞の中には「I Wish」という言葉は出てこないんですが、「願う」「祈る」っていう意味合いの、この言葉がいいかなと思いまして。



で、ピックも「I LOVE YOU」と「I Wish」の2種類で発注したんです。
で、そんなことも同時進行しながら、この新曲もリズム録りと正式な歌入れもこなして、

3曲を並べてみると、なかなか心地よい並びになりまして(微笑)

ギターも2バージョン出来あがってて、プロモーションビデオのロケも行って、
まるで最初から綿密に計算したかのようにこの3曲が並んでいる、という形になったんです(微笑)



・・・裏側ではこんなにドタバタしてたのに笑。



だれも空白の1日で作って仕上げちゃったなんて思わないでしょ?



でもやってみると本当に良いものが出来ましたっていう(微笑)



そんなわけで、「I WISH」っていう曲は、この騒ぎがなければなかった曲なんですよ。
で、今となってはもう両A面扱いにしたいくらいの話になってしまって笑。

僕は他の歌手の方と違って、キャンペーンとかあんまりできないんで、両方聞いていただきたいなという。
そして、ファンの皆様へのプレゼントである「白い夜」があると。



で、この「白い夜」なんですが、てなことがあったんで、前奏がディナーショーの前奏と、エレピの大谷さんが新しくアレンジバージョンと2パターン出来てしまったんですよ笑。2パターン出来てしまったために、これ、歌の入りが変わってくるんですよ。(ESP注:歌い出しのタイミングのこと)
ギターに弾き語りのバージョンと、エレピのバージョンとでは、歌の入るタイミングが変わってくるんです。
これはどちらかを今後何かの機会に、ファンの皆様にプレゼントしたいなって思ってます。



あと、おかしいのが、歌入れのことなんですけど、そんなこんなで歌入れしてたじゃないですか笑。
で、こっちはノッてたわけですよ。I LOVEYOUにしてもそうだし、I Wishもそうだけど、音楽モードに入ってたわけです。仮歌も一発で決めてるんですよ。
で、昨日が本チャンの歌入れだったんですけど、ど〜しても、仮歌を超えられないんですよ。

仮歌を入れる作業は、バンドと一緒にやっているっていう新鮮な気持ちと臨場感があるわけです。プロモーションビデオも全部その仮歌を使ってやってきたんですけど、いざその仮歌をしのぐかたちでやってみようと思うと、いまいちこう、何か違うんですよね・・・



で、結論は、全部仮歌が採用になりました(笑)
本チャンの歌入れしなくてよかったっていう(笑)



今回も全部一発撮りです。薄桜記と同じパターンですよね。前回の薄桜記のインタビューのときもいいましたけど、あれも夜中の新鮮な一発目の歌入れだったんですよね(微笑)

普通のレコーディングではありえないことなんですよね。


普通は何度も挑戦して、細かく直して完成度の高さを目指すものだと思うんです。
でも、一発目の歌入れにしかない、新鮮な臨場感のある、

ある意味「未完成な良さ」みたいなものも捨てがたいと言うか。
ある意味「ライブ感」が深まると言うか。



そういう、うまく言葉で説明できない何かが、このテイクにあったということなんですよ(微笑)



これって面白いんですけど、やっぱり今お話したような現象があってありきなんです。
大谷さんのNEWアレンジがあって、ブラスも含めて素晴らしいバックの演奏があって、「いいね〜♪」なんてノッてる自分がいて。あと、どっちかというと今までの自分の楽曲とは違う躍動感みたいなものがあって。



本当に、これがあっての話なんですよ。



例えば芝居で言えば、相手役の俳優さんがこういう芝居をしてくれたから、自分もこういう芝居になった、っていうのがあるじゃないですか。相手役が良ければ、引き出されるものがあるんです。立ち回りもそうなんですが、相手役の斬られ方が上手いと、斬り役はさらに上手く見えるんです。
まさに、役者業のそういうところと似通ってますよね。

だから、先程も言いましたが、「I WISH」っていう曲は、「I LOVE YOU」がなければ、
そして、こういった状況がなければ、生まれなかったわけなんです(微笑)






なんとまたしても!歌入れワンテイク伝説!

前回の薄桜記インタビューでは、採用されたのがほとんどワンテイク目だったというお話をお伺いし、こちらも正直驚きを隠せなかったのでございますが、今回のレコーディングでも全く同様の現象が起きていたとは!

今回、お話を聞かせていただいて、なぜ歌入れがほとんどワンテイクなのか、という謎が僕の中で少し解けた気がいたしました。



俳優という本当にシビアな世界で生きてきた京本氏にとって、ワンテイク目の「仮歌録り」というものは、まさにドラマでいうところの監督の合図とともに一瞬で役に入り込んで共演者と演技をする、というライブに近い感覚にも繋がってくるのかもしれない。

あるいは舞台で披露される、あの緊張感溢れる、華麗なる殺陣の一発真剣勝負の瞬間にも相通ずるものなのではないか。

余談だが、あの殺陣の最中は、京本氏はずっと無呼吸状態なのだそうである。

まさに無我の境地ともいえる、驚くべき集中力をもって取り組まなくては、あのような鬼気迫る殺陣は成立しないのだそうだ。

一瞬の気のゆるみで、殺陣がすべて台無しになるばかりでなく、演技者が大怪我にもつながりかねない重大事故を呼んでしまう可能性もある。

そういった、まさに「本番一発勝負」の世界を生き抜いてきた京本氏にとって、何度も修正を繰り返して完成度の高い歌を追求するという「作業」よりも、
「バンド演奏と同時にライブで歌入れ」という「真剣勝負」の世界の方が、よりいっそうその真価を発揮できるのかもしれない。



「I LOVE YOU」、「I WISH」、「白い夜」という、京本政樹入魂の必殺マキシシングルを、心して聞いていただきたい!!






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