お膳立ては整ったので、接着と補強を。
補強のメイプル薄板は水溶性接着剤を使いました。水分を与える事で、柔軟性が出て馴染みやすいからです。
割れと剥離を起こした部分はエポキシ接着剤で充填接着。割れを閉じると言うより染み込ませて固めるイメージです。
ボディアーチに合わせて加工した2枚のアクリル板で、ボディの裏板を挟んで、割れを閉じて段差を戻し、同時に内側に補強のメイプル薄板を接着します。
2つの細い穴にワイヤーを通して、ペグで作ったウインチで締め上げます。
硬化後ならして塗装。
分からなくはなりませんが、しっかり復旧はしたと思います。
少々自信がありませんでしたが、イメージ通りに仕上がりました。
穴を空けたくないと言う場合や、予算が少ない場合、単にエポキシ樹脂で埋めて、「まぁ合板だから大丈夫でしょう」となるのですが、今回はしっかり直せて良かったです。
依頼主は脳出血の後遺症で半身麻痺ながらも「片腕のギタリスト」として各地で公演活動をされている 湯上輝彦さん。
楽器の運搬を他者に頼るしか無い場面も多く、かなり落胆しておられました。
つい先日お知り合いになり、早速役に立った不思議なご縁です。