ESP SNAPPER 20th Anniversary Special Vol.11

2024/07/31

2003年12月のリリースより、ESP SNAPPER(スナッパー)シリーズは2023年で20周年を迎えることができました。おかげさまで皆様にご好評いただき、SNAPPERの満20周年Special Yearとなりました。
これから2024年にかけて、様々な企画やキャンペーンを計画しております!
こちらでは開発が始まった当時を振り返りながら製品開発時の秘話やこの仕様に至った経緯など、ちょっと別の角度からSNAPPERを深掘りしていきたいと思います。
随時更新していきますので乞うご期待ください!

[ 開発チームメンバーによるSNAPPER回顧録 ]

第一章 – 開発秘話&ヒストリー

-11- Floyd Rose搭載モデルの誕生

そして、2009年。
ミュージシャンからの強い要望で新たなSNAPPERがリリースされます。
「FR(フロイドローズ)搭載モデル」の追加です。

従来のSNAPPERは、アーミング時の戻りが良くチューニングの安定したFLECKER-IIIを搭載し、ペグにはロック式のペグを採用していますが、それでもアーミング時などにナット部で若干のズレが生じる事があります。

レコーディング等ではチューニングの修正も容易ですが、ステージ上ではライブ演出の都合等もあるため、好きなタイミングでチューニングを直すというわけにもいきません。当然プロの世界では正確なチューニングを要求される現場は多く、とにかくチューニングの狂わないギターを必要としているミュージシャンが多かったのです。

過激なアーミングの為のユニットという印象の強いフロイドローズですが、ナット部で弦をロックするその構造のため、チューニングの狂いが極めて少ないという側面もあります。既に実績と定評のあるフロイドローズの採用はとても自然な流れでした。

フロイドローズ搭載の新モデルは、SNAPPER-ALとSNAPPER-CTMの2機種で展開する事にしました。
ご存じの通りフロイドローズはとても質量のあるブリッジで、この重さによりガツンとくるコシのあるサウンドが生まれます。(シンクロのブロックをスチールに変えた時のようなイメージが近いと思います。)
そのままフロイドローズを搭載するだけでも「チューニングが狂わない」という目的は達成できたのですが、せっかくですからこのブリッジの持つサウンドを生かし、楽器にも少々個性を持たせる事にしました。軽快なサウンドが特徴のST的である事に拘らず、太くハードにドライブさせて演奏するプレイヤーにも更なる適性を持たせるため、ハイフレットへのアクセスをより容易にする事にしたのです。

ESP SNAPPER-AL-FR

ESP SNAPPER-CTM24-FR

人間工学を用いた設計で、ネックセットプレートを使わずより自由度の高いヒールカットを実現させた”ERGO JOINT(エルゴジョイント)”の採用です。フロイドローズ搭載のギターはよりテクニカル系のギタリストに好まれる傾向が強い事を加味した選択です。

ERGO JOINT

更に、モダンな雰囲気のCTMはより拡張性を持たせる為に24フレット仕様にし、それに伴ってボディシェイプの再設計も行いました。より深いカッタウェイのシェイピングを施し、最終フレットへの完全なるアクセスを実現しました。

「なぜ、SNAPPER-ALは22フレットなのにSNAPPER-CTMは24フレットなのか?」という質問をお寄せいただきます。フロイドローズ搭載のギターのイメージやプレイスタイル、特にハイポジションへのアクセスについて多くの方々に意見を聞いた所、意見が綺麗に2つに分かれました。王道の70~80’sスタイル、またはより洗練された90’s以降のスタイルです。どちらが正解という事ではないため、両方の要望に応える形で、それぞれのモデルごとのイメージに合わせた別々の仕様を採用したわけです。

また、このタイミングでコントロールの変更も行われました。
現行モデルにも搭載されている “MIX VARIETION SW (ミックス・バリエーション・スイッチ)” の採用です。

ミックス・バリエーション・スイッチ

切り替える事で、5WAYのハーフトーンのポジションで、「ネックピックアップ+ブリッジピックアップのミックス」や「全ピックアップ鳴り」が選択できるスイッチです。
レコーディング時にとても有用性の高いスイッチで、ピックアップ・コンビネーションによる微妙なサウンドの変化が楽しめます。

また、”Capaciter Select (キャパシターセレクト)”も同時に採用しました。
トーンノブをプッシュすることで、違った2つの値のトーンキャパシターを選ぶことができます。
従来通りのスウィートなJAZZトーンも、歌もののバックで少しだけエッジを抑えるようなトーン調整も思うがままです。

※本記事では、2003年発売のSNAPPER ファースト モデルの構造を解説しています。

(SNAPPER開発チーム メンバーK)

– つづく –

【合わせて読みたい】
◆ ESP SNAPPER-7 開発秘話

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