ESP SNAPPER 20th Anniversary Special Vol.17

2024/12/27

2003年12月のリリースより、ESP SNAPPER(スナッパー)シリーズは2023年で20周年を迎えることができました。おかげさまで皆様にご好評いただき、SNAPPERの満20周年Special Yearとなりました。
これから2024年にかけて、様々な企画やキャンペーンを計画しております!
こちらでは開発が始まった当時を振り返りながら製品開発時の秘話やこの仕様に至った経緯など、ちょっと別の角度からSNAPPERを深掘りしていきたいと思います。
随時更新していきますので乞うご期待ください!

[ 開発チームメンバーによるSNAPPER回顧録 ]

第二章 – マイナーチェンジ ~ パワフルなサウンドへの挑戦

-17- 世界からのリクエスト

今回はバックルートタイプのSNAPPERのお話です。
一般的にバックルートとはコントロールキャビティをボディ裏側から掘っているピックガードが無いタイプのギターを指します。
SNAPPERのバックルート仕様が発売されたのは2019年。世界的にパワフルなサウンドへの需要はさらに高まり、コンポーネント系のブランドにおいても、ピックアップのダイレクトマウントするモデルの人気が再燃し始めていたタイミングでした。

ESPとしては2015年より製作をスタートしたエキシビジョンリミテッド(例年アメリカ・アナハイムで開催されるNAMM SHOW[国際楽器見本市]で展示販売される特別モデル)でバックルートのSNAPPERを製作しており、おかげさまで大変ご好評いただいておりました。
しかし、そこは年に一度しか手に入らない特別モデル。SNAPPERのバックルート仕様をレギュラーモデルとして販売して欲しいというリクエストが世界各国より沢山届いていた事もあり、ここはひとつご希望に応えるべく検証を始める事にしました。

今回のバックルートの人気は、70年代後半~80年代ロックスタイルの再評価という世界的な音楽トレンドの影響が大きかったのではないかと思います。より洗練されたパワーとテクニカルなプレイへの対応であればSNAPPER-FRが最適解という事になりますが、もう少しトラディショナルなイメージを残しハムバッカーのパワーを融合させたものこそ、今望まれているモデルであろうとゴールを設定しました。
となると、そもそも SNAPPER TYPE-2はトラディショナルなギターの持つ暴れ感を盛り込むことをコンセプトに原点回帰を図り再構築されたモデルです。

これはもはや、シンプルにピックガードを無くしピックアップをダイレクトマウントにするに留めておくのが最良なのではないかと判断しました。ピックアップをダイレクトマウントにすることにより、しっかりした音圧と少し荒々しいドライブサウンド、また良好なサステインが手に入ります。これこそSNAPPERらしいバランスを保ちながら70年代後半~80年代ロックスタイルの雰囲気をまとったサウンドの融合でした。

あれこれ思案したものの、2015年の時点でESPとしての答えは既に出ていたようです。
まったく内輪の話ではありますが、当時エキシビジョンモデルを企画したクラフトマンの先見の明とセンスには脱帽です。

楽器としての設計は決まりましたが、少し目新しさが欲しかった事もあり、SNAPPER-CTMにはトップにバール材を、SNAPPER-ASにはドリフトウッド・カラーを採用する事にしました。エキシビジョンリミテッドで既にトライしており、とても評判の良かった仕様です。

SNAPPER-CTMではポプラバールとバックアイバールを採用しました。また、バックルートにするだけでなく、トラディショナルな雰囲気と優しい抱え心地を得るためボディエッジを8Rに変更しています。

SNAPPER-CTM Burl Top Series

ASモデルにはドリフトウッド・カラーを採用しました。
ドリフトウッドとは「流木」を意味しており、サンドブラストによる生地加工を行い、フィラー入れとレイヤーカラー、またはバーナー加工で仕上げる新フィニッシュです。SNAPPERで採用しているアッシュは環孔材ですので年輪に沿って太い導管が集中しています。導管は空洞の為削れやすく、木質部は逆に堅く削れにくいです。この特性を利用し、サンドブラストで導管部分を削りとること木目を際立たせ表面に独特なゴツゴツした質感を生み出します。
更にバックルートモデルだけでなくピックガード付きのモデルにもこのカラーを採用する事にしました。

SNAPPER-AS Driftwood Series

現在はSNAPPER-CTM Buckeye Burl以外のバックルート仕様のモデルは、残念ながら生産終了となっております。よりモダンなパワーが求められる傾向が強くなってきたため、そのサウンド傾向はある意味ハードロック側へシフトしたとも言えました。であればESP M-IIの出番だね!という社内意見が多かったこともラインアップを整理した理由の一つです。

もちろん、70年代後半~80年代ロックスタイルは、今も熱く決して色褪せたわけではありません。
今後多くのリクエストをお寄せいただければ、またSNAPPER BR(バックルート)シリーズが復活する事もあるかもしれません。その時の状況やタイミングにもよりますが、ESPはいつでも使い手の声にお応えできるよう心構えをしています。

※本記事では、2016年発売のSNAPPER セカンドモデル(TYPE-2)の構造を解説しています。

(SNAPPER開発チーム メンバーK)

第二章-完-

【合わせて読みたい】
◆ ESP SNAPPER-7 開発秘話

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