ESP SNAPPER 20th Anniversary Special Vol.18

2025/05/13

2003年12月のリリースより、ESP SNAPPER(スナッパー)シリーズは2023年で20周年を迎えることができました。おかげさまで皆様にご好評いただき、SNAPPERの満20周年Special Yearとなりました。
そして2025年、遂にSNAPPERは次なるステップへ飛躍します。

[ 開発チームメンバーによるSNAPPER回顧録 ]

第3章 – 飽くなき可能性の追求 ~ 新たなステージへ

-18- 20th Anniversary Model 発売

ESP 50周年期にあたる 2025年。ついにSNAPPERの新たな扉が開かれました。

SNAPPER 20周年記念モデルとして、希少なキルテッド・メイプルをトップにあしらった「ESP SNAPPER-CTM/QM 20th Anniversary」と、ロングセラーモデルであるE-SNAPPERの特別仕様版である「EDWARDS E-SNAPPER-AL/R 20th Anniversary」の2モデルが発売となりました。
今回はそれぞれのモデルについて掘り下げていきたいと思います。

ESP SNAPPER-CTM/QM 20th Anniversary

まず目を惹くのは、やはりボディトップに施されたキルテッド・メイプルです。この10年ほどで世界的に入手が非常に困難となり、多くのギターメーカーがレギュラーモデルから撤退せざるを得なかった、極めて希少な材です。ESPでも常に入手ルートを模索しておりましたが、今回奇跡的に少数確保することができ、この特別モデルに採用する運びとなりました。ヘッドトップにも同様のキルテッド・メイプルを贅沢に使用しております。

ボディバックには、軽快なアタック感とともに暖かみとクリアな音抜けを兼ね備えるスワンプアッシュを選定いたしました。この木材も年々入手が困難になっていますが、ESPが長年にわたり収集してきたストックの中から、今回の企画にふさわしい良質なものを厳選しております。

指板には、豊かな倍音と太く甘いトーンが魅力のインディアンローズウッドを使用しています。6mmのアルミリングをはめ込んだポジションマークは、スタンダードモデルよりもシャープな印象を与えています。

初期型と同じスターカット・ネックセットプレートを使用。

製品画像では分かりにくいかもしれませんが、各所のボディカットは初代SNAPPERへのオマージュとなっております。軽快なレスポンスを持つスターカットプレート&ヒールカット、最小限の加工で最大限のハイポジションアクセスを可能にするバックハンドカット、心地よいアコースティックな鳴りを生むS-HH変則ランチボックス・キャビティなど、レスポンスを徹底的に追求した設計です。各仕様の詳細や初期仕様の説明については、ぜひ過去記事をご参照ください。

フレットにはミディアムサイズのステンレスフレットを採用しています。ステンレスフレットについては、世界中の多くのプレイヤーから多数のリクエストをいただいており、ESPでも長年にわたって検討・検証を重ねてきた仕様の一つです。滑らかな弾き心地と繊細なタッチを実現し、優れたピッチの安定性と高い耐摩耗性を持つ長寿命の素材です。ただし、明るく煌びやかな音色には好みが分かれるため、プレイヤーごとにさまざまな意見があることも認識しております。

ステンレスフレットのエッジも丁寧に処理されている。ポジションマークも特別仕様モデルならでは。

今回採用したフレットは、素材メーカー各社の中から、ESPのサウンド特性を最大限に活かすトーンを持ったものを厳選しました。比較的柔らかめのステンレスで、プレゼンス帯域が穏やかで、音の太さを感じやすいタイプです。ニッケルシルバー製の硬質フレットよりも太く感じるという方もいらっしゃるかもしれませんが、ステンレスならではの広いレンジはしっかりと確保されています。

そのため、SNAPPERに搭載されている「Master Tone(CAP. Select SW)※トーンノブをプッシュして異なるキャパシター値を切り替える機能」が、より効果的に機能し、音作りの幅がさらに広がりました。

ピックアップには、Seymour Duncan製を採用しています。ネックとミドルにはパワーと明瞭さを兼ね備えたシングルコイル「SSL-5」を搭載。艶やかなクリーンからハードなカッティング・リフまで幅広く対応でき、表現力も豊かです。ブリッジピックアップには、リッチなサスティーンを持つ「’78モデル」を採用しました。倍音豊かで伸びのあるトーンは、フィンガリングの反応にも優れており、リードプレイが心地よく楽しめます。

モノトーンでまとめられたアッセンブリーとハードウェア。

シルバーの面取りが美しいアノダイズド・ピックガードは、ルックスを引き締めるだけでなく、ノイズ軽減も意図したものです。コントロールノブには、ESP製の「Lowプロファイル・メタルノブ」を使用しています。アノダイズド・ピックガードとの見た目の相性も考慮しつつ、ブリッジミュート時などに手がノブに当たるのを防ぐための低い設計となっております。

ST系ギターに求められる繊細なコントロール性も、しっかりと確保しています。「触らないように」「触りやすいように」という相反する要素を両立させるために、細部までこだわり抜いて設計いたしました。多くのプレイヤーが気に留めないような小さな要素かもしれませんが、演奏中のストレス軽減とプレイアビリティ向上に大きく貢献できたと考えています。

20周年を記念するマイルストーンモデルとして、SNAPPERの歴史を再構築し、ESPらしい芯の太さと輪郭のクリアさを持ちながら、繊細な鳴りとパワフルなエレクトロニクスを融合させた一本に仕上げました。
家でも現場でも「ずっと弾いていたくなる」ギターとして、あなたの感性をぶつけて思い切り演奏を楽しんでいただけたら嬉しいです。

EDWARDS E-SNAPPER-AL/R 20th Anniversary

華やかな特別カラー「Topaz Sparkle」をまとった、EDWARDSの20周年記念モデルです。長く定番モデルとして親しまれてきたE-SNAPPERの魅力はそのままに、ESP SNAPPERの仕様を踏襲しながら独自のアレンジを施し、特別な一本に仕上げました。

ブリッジには、通常モデルで採用されているGOTOH 510T-FE1ではなく、ESPモデルと同じ「ESP FLICKER-III」を搭載しています。4点止めヒンジ構造によって、滑らかで心地よいアーミングを実現しています。ネックジョイント部には「T-5 Ultimate Accessジョイント」を採用し、堅固な接合による優れた振動伝達と、ボディとネックの一体感ある鳴りを実現しています。フレットにはジャンボサイズのステンレスフレットを採用し、優れたピッチ精度と滑らかなフィンガリングを実現しています。

ESPブランドのレギュラーモデルと同じくT-5 Ultimate Accessを採用。

ピックアップには、ネック&ミドルに「ESP Custom Lab CL-P-S-2」を搭載。ワイルドな音像と繊細な表現力を兼ね備えており、クリーンでもクランチでもエモーショナルなサウンドを生み出します。ブリッジピックアップには、定番のハイゲイン・ハムバッカー「Seymour Duncan TB-4」をマウント。音の太さと深み、抜けの良さを兼ね備えたサウンドは、幅広いジャンルに対応いたします。

ピックアップキャビティには、心地よいアコースティックな鳴りを生む「S-HH変則ランチボックス・キャビティ」を採用しています。スイッチングコントロールは「ブリッジPUスプリット」と「ネックPU ON/OFF SW」で構成されており、直感的な操作で多彩なサウンドメイクを実現します。

20周年モデルとして、仕様の充実度、プレイアビリティ、サウンドのすべてにおいて抜かりなく設計されています。あらゆるレベルのプレイヤーにご満足いただける完成度の高い一本に仕上がっております。ぜひ店頭で、その実力を体感してみてください。

そして、この両モデルに新たに採用されたのが、新開発の「CT-SYSTEM TYPE-3」です。SNAPPERの象徴ともいえるCTシステムの最新バージョンとなっております。

CT-SYSTEM TYPE-3

 

つづく…

(SNAPPER開発チーム メンバーK)

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