ESP SNAPPER 20th Anniversary Special Vol.14

2024/10/28

2003年12月のリリースより、ESP SNAPPER(スナッパー)シリーズは2023年で20周年を迎えることができました。おかげさまで皆様にご好評いただき、SNAPPERの満20周年Special Yearとなりました。
これから2024年にかけて、様々な企画やキャンペーンを計画しております!
こちらでは開発が始まった当時を振り返りながら製品開発時の秘話やこの仕様に至った経緯など、ちょっと別の角度からSNAPPERを深掘りしていきたいと思います。
随時更新していきますので乞うご期待ください!

[ 開発チームメンバーによるSNAPPER回顧録 ]

第二章 – マイナーチェンジ ~ パワフルなサウンドへの挑戦

-14- CTシステムの再構築

さて、前回からの続きです。
SNAPPER TYPE-2において最も特徴的なポイント、それはCTシステムの設計変更であると思います。

「ガッツのある」サウンドというのがTYPE-2のコンセプトですが、はたして「ガッツのある」とは何か?
それは単純に”良く歪む”とか”パワーがある”という事ではなく、トラディショナルなギターの持つ暴れ感を盛り込むことにありました。
沢山のミュージシャンにリサーチしつつコンセプトを再定義し検討していった結果、今までとは逆説的なアイデアが生まれました。
各弦のテンションバランスを究極的に整える事を目標としたCTシステムの”アンバランス化”です。

回顧録のVol.2の重複になりますが、CTシステム は通常の平ネックで採用されている平行段ヘッドの段差を少なくし、角度を付けるという設計を行っています。
このため横から見た時に6弦のポストは通常の平ネックのギターより高い位置に、1弦のポストは通常より低い位置に設定されます。
ナットからペグまでの各弦の角度もおおむね揃い、全弦で整ったテンションが得られ、アタックや粒立ちもきちんと揃うように設計されています。

CTシステム TYPE-2では平行段の設計を取り入れ、CTシステムにおけるペグの関係性をあえて崩す事でトラディショナルな暴れ感を狙いました。

少し段を落とすことにより6弦ポストの位置はより下がり弦の角度が付くため張りの強いローに、一弦側はやや高い位置に設定されるためワイルドな暴れが表現できるようになりました。
もちろんCTシステムらしい優れたテンションバランスを考慮したうえでの再設計を念頭にしています。
ヘッドに段を付けるという意味ではSNAPPERの前身であるSE-230を基にした構造とも言えます。
ですがTYPE-2はSNAPPERのCT システムで生まれたテンションバランスとロック的なワイルドさの融合を再定義した結果です。

上:TYPE-2、下:初期型

 

また、ちょうど同時期にGOTOH社よりシンプルな機構で扱いやすいサムロックを採用したMG-Tペグが発売になりました。
GOTOHペグならでは遊びの少ないギアの精度はチューニングの容易さやリペアでの作業性にもメリットが大きく、開発チームとしても是非とも採用したいペグでした。
そこでTYPE-2はこのMG-Tのポスト高などの寸法を考慮し、ちょうど良いバランスになるようCTシステムの再設計を行っています。

新仕様のSNAPPER TYPE-2への移行のタイミングで、心機一転カラーラインナップの変更も行いました。

 

アルダーボディのモデルには少し落ち着いた雰囲気の新しいメタリック塗装「Supreme Blue(シュプリーム ブルー)」「Vinatage Candy Red(ヴィンテージ キャンディー レッド)」「Citron Green(シトロングリーン)の3色を用意。

 

そしてBrassシリーズの新カラー「Brass Black(ブラス ブラック)」、アッシュボディのモデルには艶消し黒に白フィラーを入れた「Black w/White Filler(ブラック ウィズ ホワイトフィラー)」を追加しました。

 

CTMモデルも少し大人っぽいカラーにまとめつつカラー数の拡張を行い、「Marine Blue(マリン ブルー)」「Black Cherry(ブラック チェリー) 」「Tiger Eye Sunburst(タイガーアイ サンバースト)」「See Thru Black(シースルー ブラック) 」「Indigo Purple(インディゴ パープル)」の5色展開としました。

CTMのボディバックカラーにはボディトップのカラーに対応したカラーのパール粉を吹き付けたブラックを採用しています。画像では全く分からないと思いますが、つぶし色なのに木目が見える特殊塗装を施しています。ぜひ、楽器店で実機を見かけた時は裏面までじっくり見て頂けると嬉しいです。

コントロールにつきましては、SNAPPER-FRで初採用し2010年より全SNAPPER Seriesに搭載された”MIX VARIETION SW”を採用しました。

そして2016年、このSNAPPER TYPE-2は正式リリースとなったのです。

※本記事では、2016年発売のSNAPPER セカンドモデル(TYPE-2)の構造を解説しています。

(SNAPPER開発チーム メンバーK)

– つづく –

【合わせて読みたい】
◆ ESP SNAPPER-7 開発秘話

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