モデルヒストリー ~Maverick~

1987年に日本で発売が開始されたニューヨークシリーズは、そのスタイリッシュなデザインが多くのユーザーに受け入れられ大きな反響を呼びました。しかし、ユーザーの中には既製品のギターには満足しない人もいたのではないでしょうか。そんなユーザーからは使用するにつれて色々な要望が出てくるようになります。「ボディがちょっと大きい」「スケールがちょっと長い」などのような「あとちょっとこうなってれば…」と言う意見です。この貴重な意見を踏まえ、全体を「あとちょっと」ダウンサイジングした、体格の小柄な日本人にもバランスの良いギターを開発することになったのです。そして試行錯誤の末に誕生したのがMAVERICK(MV)です。

ギターのサイズを小さくするにはどうしたら良いか。単純にボディを小さくすればいいのですが、それでは全体のバランスが悪くなります。そこでバランスよく全体のサイズを小さくする為に、まずはスケール(弦長)を短くする事から始めました。MIRAGE(M-II)のようなスタイルのギターは、大手F社の仕様を踏まえて設計されていて、一般的に648mm(25.5inch)スケールが採用されています。このスケールより短いスケールにはG社で採用されている628mm(24.75inch)、またはショートの610mm(24inch)などがありますが、この新しいギターには628mmスケールを採用することになりました。たかが20mm差ですが、プレイヤーが手に感じる感覚は驚くほど違うものです。そのスケールに合わせてボディサイズもコンパクトに再設計されました。また、指板は24フレット仕様となり、更にプレイヤビリティを考慮し1弦側のカッタウェイをギリギリまで深くした結果、フロントにはフルサイズハムバッカーが取り付けるスペースがなくなり、シングルコイルを搭載することになりました。そして、今までありそうでなかったギター、MAVERICK(一匹狼)が誕生したのです。


1989年のカタログに初めて登場したMAVERICK。現在とはボディシェイプが異なります。
フロントにシングルコイル、リアにハムバッカーのSH配列。ブリッジはESPオリジナルのシンクレアトレモロが搭載されています。
コントロールは、マスターヴォリュームとピックアップセレクターのみのシンプルな構成です。


翌年の1990年には早くもボディが現在と同じシェイプにモデルチェンジします。
フロントピックアップがシングルサイズハムバッカーに変更されたことで、全体的にパワフルなサウンドになりました。


2002年頃、ボディ材にマホガニーが採用されます。これには中音域を強調する目的がありましたが、市場にはあまり受け入れられず2004年には再びアルダーに戻ります。アッセンブリーにはマスタートーンが増設されます。トーンポットにはスイッチポットを使用し、プル時には両ピックアップをコイルスプリットする事が可能になったことでサウンドバリエーションが広がりました。ピックアップセレクターはトグルタイプからレバータイプに変更されました。


2006年にトップ材にキルテッドメイプルをラミネートしたMV-QM(後にフレイムメイプルに変更されMV-CTMとなる)がラインアップに加わります。また、マスタートーンが廃止されると同時に、好評だったコイルスプリット機能は、レバースイッチのセンターでオートコイルスプリットとして働く様にアッセンブリーを変更しています。トラスロッド調整部は2004年からネックエンド側に移動しています。


2008年からは、指板がフロントピックアップギリギリまで延長されて27フレット仕様に変更されました。
それに伴い、トラスロッド調整口が再びヘッド側に戻ります。
ボディのネックジョイント部の形状がこれまでのスターカットからERGOに変更されました。


MVの特長の一つと言えるのがこのバックカット。
通常は平面で加工されますが、MVでは大きなR状に加工されています。

この他にもMVにはいくつかのバリエーションモデルが存在します。そのひとつとして誕生した「901」。1990年にヨーロッパ向けのモデルとして登場しました(日本未発売)。ボディ形状はMVですが、角度付のNYヘッド、指板からヘッドに至るまで施されたバインディング、特長的な指板エンド処理と901のネームプレート、そしてピックガードなど、MVを基本としながらもオリジナリティ溢れるモデルに仕上がっています。この他にも、3シングルで角度無しNYヘッド、ラージピックガードの「901ST」も存在しました。(画像は現在捜索中です!)


「901」が発展して誕生したもう一つのバリエーションモデルであるMAVERICK DELUXE。スラントしているフロントとセンターにはシングルコイルサイズハムバッカーであるESP POWERRAIL、リアピックアップはフルサイズハムバッカーのESP LH-200と言うSSH配列。ブリッジにはフロイドローズオリジナルを搭載しています。

■MV Series

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