ESP SNAPPER-7 開発秘話

ESP SNAPPER-7が誕生するまでの、製品開発の記録です。

長らく水面下で進行していたSNAPPER-7をやっと発表できました!
立て続けにシグネチュアモデルが出た後に、レギュラーモデルが最後の最後で発表なんて…。
主役は最後に満を持して登場するのです!

誕生前夜

ESPが考える新しいスタンダードとは?
このコンセプトのもと誕生したSNAPPERが発売されたのが2003年になります。
日本人の体格に合わせたスマートなボディ、ストレスなくスムーズに弾けるネック、あらゆるジャンルのサウンドに対応できるピックアップ構成とアッセンブリー関係、滑らかなビブラートが特徴のフリッカーIIIと、トラディショナルスタイルなルックスからは想像できない高いプレイヤビリティを実現する、そんなギターがSNAPPERです。
発売以降、6弦スタイルメインで展開されているSNAPPERでしたが、2010年に大村孝佳氏の要望で初めてSNAPPER-7が製作されました。それまで6弦SNAPPERをメインとして使用していた大村氏が、7弦を必要とされる現場で使用するべく製作したもので、「ストレスを感じさせない弾きやすい7弦」と言う要望通りのギターが完成したのです。当初は6弦と同じく…(大村氏のこだわりはまた次の機会にでも)
このSNAPPER-7がすべての始まりでした。また、当時は非ロック式で7弦用トレモロと言うとHIPSHOT製のブリッジしか手に入るものがなかったので、こちらのブリッジを搭載してました。

FLICKER-III-7の誕生~出会い

…それから時は流れ…でもせっかくのSNAPPERですから、やっぱりブリッジもFLICKER-IIIを搭載したいじゃない!と言う事で、今度はFLICKER-III-7の開発がスタートしました。ここは弊社パーツ部精鋭が奮闘しまして。完成した試作品は大村氏のモデルに搭載し(そもそも当時搭載できるギターはこれしかなかった)、使用感や音質などへのアドバイスを頂き、2016年に晴れてFLICKER-III-7が爆誕したわけです。この大村氏のモデルを2017年に販売しようとなったのも、すべてはFLICKER-III-7の完成があったからこそ、そしてその生産体制が整ったからなのです。

この大村氏のSNAPPER-7が発売されて、すぐにレギュラーモデルでSNAPPER-7が欲しい、と言う声を耳にするようになりました。確かに大村氏のモデルはド派手なTwinkle Pinkカラー、9フレット以降のハーフスキャロップと、シグネチュアモデル特有の、そのギタリストの好みがズバッと反映されたもので、決して万人受けするものではなかったからと推測されます。そんなに要望の声があるならと、レギュラーラインでのSNAPPER-7の開発が本格的にスタートしたのでした。

遂に開発スタート、しかし!

7弦を使用するギタリストの傾向は?音楽の傾向は?スペックは?などなど、多くのリサーチを重ね、その中にESPらしさとは?多くの方に受け入れてもらえるものは?など、様々な要素を比較検討しました。十人十色とはよく言ったもので、関わる人が多くなればそれだけ意見も多くなり、結果まとまらないことはよくあります。今回のSNAPPER-7もなかなか仕様が決まりませんでした。それでも「7弦を感じさせない7弦ギター」「6弦から持ち替えても違和感のない7弦」と言うコンセプトに最終的には落ち着いたのです。

開発を進めていく中で、SNAPPER自体の認知度が徐々に上がり、ESPを代表するモデルへと成長していきます。多くのギタリストがSNAPPERを使用するようになり、その中でいくつかのシグネチュアモデルも誕生しました。シグネチュアモデルに関しては、先にも出たように使用するギタリストの好みが反映されるものなので、開発スピードも速く、結果先に多くのシグネチュアモデルがリリースされていくのです。

シグネチュアモデルにおけるSNAPPER-7

ここでちょっと寄り道を。各シグネチュアモデル(7弦限定)の特徴的な部分を比較してみましょう。
面白い事に、ギタリストの個性が見事にスペックやカラーに表れており、二つとして同じ仕様が存在しません。それだけ、個性が反映されやすいギターなのです。
現在発売されているSNAPPER-7のシグネチュアモデルは、先の大村氏、故藤岡幹大氏、SYU氏、e-ZUKA氏、Joe・G氏、ISAO氏の6機種になります。

ボディ材はアルダーが圧勝

ほとんどがアルダーを使用しています。アルダー材のエレキギターにおける汎用性の高さが表れていますね。e-ZUKA氏のみスワンプアッシュを使用していますが、音楽的な倍音が多い音質面も優れていますが、どちらかと言うとルックスへの影響も大きいのではないでしょうか。Joe・G氏のバックアイバールのトップ材も同じようにルックスへのこだわりからです。

大村孝佳 藤岡幹大 SYU e-ZUKA Joe・G ISAO
アルダー アルダー アルダー スワンプアッシュ バックアイバール/アルダー アルダー

ネック材は安定のハードメイプル

全モデル共通してハードメイプルを使用しています。スポットモデルやエキシビジョンではローズウッドネックなどもありますが、ネック材として一番オーソドックスであり、なおかつ弦楽器のネックに必要なすべての要素を持つハードメイプルを全員が選んでいます。

指板材はお好みで

こちらは多種多様です。指板材に関しては音質もあります、実際に指で触れる部分ですので質感も重要な要素となります。もちろん色味や木目などルックスにもかかわってくる重要な部分です。

大村孝佳 藤岡幹大 SYU e-ZUKA Joe・G ISAO
ローズウッド ローズウッド ハードメイプル エボニー パーフェロー エボニー

ヘッド角度の秘密

ネック関係で行くと、まずはヘッドの角度です。SNAPPERにはCTシステムが採用されています。大村氏のモデルは初期型の仕様を継承しているので、まだ段差が浅い旧CTシステムです。最近発売されたSYU、e-ZUKAモデルは段差の深い新CTシステムになります。その他の3名は角度の付かない、いわゆる段付きになります。これは次項目のナットが関係してきます。
※CTとは、コントロール・テンションの略で、ヘッドに僅かな角度を付けることにより各弦のバランスを整えています。

大村孝佳 藤岡幹大 SYU e-ZUKA Joe・G ISAO
旧CT 段付き 新CT 新CT 段付き 段付き

ナットの種類と幅について

大村モデルは46mmと他と比べて2mm細くなっています。これは、SNAPPER-7の前に使用していたM-SEVEN(初期型)が影響しています。M-SEVEN(初期型)は特注ロックナットを使用しており、幅が46mmでした。この感触を継承しています。
48mmと言う数値は、一般的な7弦ギターのナット幅になります。フロイドローズの7弦用ロックナットR7Sは48mmですので、ロックナットのものは必然的にナット幅が48mmとなります。

大村孝佳 藤岡幹大 SYU e-ZUKA Joe・G ISAO
46mm/牛骨 48mm/ロックナット 48mm/牛骨 48mm/牛骨 48mm/ロックナット 48mm/ロックナット

意外なピックアップ構成

6弦SNAPPERは、1ハムバッカー、2スタックシングルの構成です。この構成に一番近いのはe-ZUKA氏のモデルです。他は全て2ハムバッカーとなっており、7弦ギターがパワフルでヘヴィなサウンドを必要としていることが分かります。また、大村氏以外のモデルは、全てシングルコイルモード(コイルスプリット)できる仕様になっていますので、幅広いサウンドメイクが可能です。

大村孝佳 藤岡幹大 SYU e-ZUKA Joe・G ISAO
2ハムバッカー 2ハムバッカー 2ハムバッカー 1ハムバッカー、2シングルコイル 2ハムバッカー 2ハムバッカー

各スペックを比較したいのですが、ひとまず主要部分だけ。詳しくは各モデルの製品ページにてご確認ください。ギタリストの個性も垣間見えてくると思います。

レギュラーラインSNAPPER-7の誕生

「7弦を感じさせない7弦ギター」「6弦から持ち替えても違和感のない7弦」と言うコンセプトで開発がスタートしたSNAPPER-7ですが、完成するまでには長い時間を要しました。コンセプトが決まってからもさまざまな検討は続き、紆余曲折ありましたが結果このようなスペックに落ち着きました。

ボディ:
・Alder (厚さは一般的な45mm)
ネック:
・Hard Maple (CT System は現行の深いタイプ)
グリップシェイプ:
・Slim U (程よい厚みでしっかりと握り込めるタイプ)
フィンガーボード:
・Honduras Rosewood
ラディアス:
・305R (指板Rです)
スケール:
・648mm (6弦モデルと同じ)
ナット:
・無漂白牛骨 (46mm)
フレット:
・JESCAR FW55090-NS (ミディアムジャンボタイプ), 22frets
インレイ:
・(Top)白蝶貝のドット, (Side)Luminlay SGM-23 (蓄光素材)
ジョイント方法:
・Bolt-on (T-5 Ultimate Access、チタンプレート)
ペグ:
・GOTOH SG360-07 MG-T (ペグ本体の裏についているつまみを回してロックするタイプ)
ブリッジ:
・ESP FLICKER-III-7
・スプリングはTremolo Tone Spring Type-2を5本
ピックアップ:
・(Neck) Seymour Duncan SSL-5-7 (シングル)
・(Middle) Seymour Duncan SSL-5-7 (シングル)
・(Bridge) Seymour Duncan SH-14-7 (ハムバッカー)
パーツカラー:
・Chrome
コントロール:
・Master Volume, Master Tone (CAP. Select SW), 5-Way Lever PU Selector, Mix Variation Switch

目を惹くのは、ナット幅とスケールでしょうか。ナット幅はなぜ一般的な48mmに設定しなかったのか。それはこれまでESPがリリースしてきた7弦ギターに答えが隠されています。現在ラインアップされているULTRATONE-SL7のナット幅は46mm、その前に発売していたVP-SL7も46mm、初期型のM-SEVENも特注ロックナットを使い46mm。ESPでは46mmのモデルが多く存在していたのです。数値だけ見ればたかが2mm、されど2mmですが、手に伝わる感触は驚くほど違うものです。この46mmを今回のSNAPPER-7でも継承した形になります。
スケールは6弦と同じく648mmとなっています。7弦のテンションを稼ぐためにこれまでは686mmスケールを採用する事が多くなっていましたが、やはり6弦に比べるとテンションが強く、コンセプトの「6弦から持ち替えても違和感のない7弦」から外れてしまうので、スケールには6弦と同じ648mmが採用されました。

先に発売されてきたSNAPPER-7系シグネチュアモデルからフィードバックされたデーターを元にして、誕生したSNAPER-7はどのモデルとも完全一致はしません。それぞれの良いとこ取りとでもいいましょうか、非常に完成度の高いギターになっています。
数ある7弦ギターの中でも、SNAPPER-7は抜群なプレイヤビリティを約束できます。弾き辛くて7弦を諦めてしまった方、是非弾いてみてください。弾きやすさにきっとビックリするはずです。そして、シグネチュアモデルのように、自分なりに改造して、自分オリジナルのSNAPPER-7を作り上げてください。

自分だけのオリジナルSNAPPER、完成したらESP PLAYERSサイトへ投稿してみませんか?

 

■ ESP SNAPPER-7 発売告知

■ ESP SNAPPER-7 Ohmura Custom
■ ESP SNAPPER-7 Fujioka Custom
■ ESP SNAPPER-7 SYU Custom “SYUNAPPER-7”
■ ESP SNAPPER-7 e-ZUKA Custom “ZUKAPPER-7”
■ ESP SNAPPER-7 Joe・G Custom “Potalist-7”
■ ESP SNAPPER-7 ISAO Custom “RAIDEN-7”

■ ESP PLAYERS

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五陸守のゴリゴリ珍道中 Vol.6

唯一無二の存在感!ESP FRX

皆さん、こんにちは。
ギタリストの五陸 守です。
いよいよ暑い日が多くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?
湿度の上昇など、楽器のコンデション維持にも気をつけたい時期ですね。

さて今回は僕が普段「似合っていない」と言われがちな(笑)、ESP FRXについて解説をしていきます。
ちなみに僕自身、FRXは自分に似合っていると思っていますがっ!!

奇をてらわない王道スペック

早速基本スペックを見ていきましょう。
まずボディがアルダー仕様の「FRX」とマホガニーバック/バールメイプルorキルテッドメイプルトップの「FRX-CTM」の2系統に分類されます。
ハードメイプル3Pネック、エボニー指板、セットネック構造というのは共通したスペックです。
「見た目の印象とは裏腹に」と言ってはなんですが、実は非常にスタンダードな材のチョイスになっています。
さらにストップテイルピース仕様の「FRX NT」・「FRX-CTM-NT」と、フロイドローズ仕様の「FRX FR」・「FRX-CTM FR」が存在します。
「NT」の方はブリッジ側のピックアップにSeymour Duncan「NAZGÛL-6」を搭載、「FR」の方はブリッジ側のピックアップにSeymour Duncan「PEGASUS-6 TB」を搭載しており、ネック側のピックアップはいずれのモデルも共通してSeymour Duncan「SENTIENT-6」となっています。

多様化する音楽の進化をサポートする懐の深さ

僕は、高出力なハムバッキングピックアップに関して自分なりのジャンル分けをしています。
1つは“昔ながら系”、もう一つが“今どき系”です。(呼び名がダサいのはお許しを…ww)
“昔ながら系”は歪み感を得やすく、アンプのゲインの目盛りが小さい状態で扱いやすく、ガッツを感じるサウンドを特徴とします。
歪みの質感はモダンなものに比べて粗々しく、単音弾きをすると艶やかさを感じます。
他方“今どき系”はとにかく歪みの質感がきめ細かく、音の分離が良いのが特徴で、アンプのゲイン目盛りを上げて深く歪ませてもクリアーさを感じます。
これは多弦ギターやダウンチューニングを扱うミュージシャンの増加に伴って進化してきたものであり、まさに最新のサウンドと言えるでしょう。
FRXに搭載されている「PEGASUS」「NAZGÛL」「SENTIENT」はこの“今どき系”に分類されます。
これら現代的なピックアップの特徴としてクリーントーンの素直さも加えてお伝えしたいポイントです。
ギター本来の音を忠実に再生しながらゲインアップするイメージです。
なんとなくハードな音楽のイメージがあるFRXですが、実は演奏できることの可能性はとてもとても大きく、まだまだ色んな使い方が模索できるギターだと思います。

FRXは変形ギターなのか

FRXはその美しいボディシェイプが非常に印象的ですが、弾き心地を犠牲にしていないことも素晴らしい点です。
ESPといえば数々の変形シェイプの楽器を作ってきたノウハウがあるメーカーです。
ルックスとプレイアビリティを当たり前のごとく高次元で融合させているあたりは「さすがだな!」と思わされます。
さらに夢を膨らませるならば、FRXを土台にしたオリジナルのオーダーもとても面白いでしょう。
ESPのホームページでレギュラーモデルをチェックしただけでも、FRXがどんなフィニッシュをも許容するギターであることは一目瞭然です。
単色つぶし塗装、杢目を見せるシースルー塗装、どんな色を使ったとしてもFRXが許容できない仕様など無いのです!
レギュラーモデルだけでなく、自分だけの1本を作るベースとしても最高のギターがESPのFRXです。

ESP FRX

ESP FRX(digimart)

ESP FRX-CTM Burled Maple

ESP FRX-CTM Burled Maple(digimart)

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