ESP SNAPPER 20th Anniversary Special Vol.5

2024/03/01

2003年12月のリリースより、ESP SNAPPER(スナッパー)シリーズは2023年で20周年を迎えることができました。おかげさまで皆様にご好評いただき、SNAPPERの満20周年Special Yearとなりました。
これから2024年にかけて、様々な企画やキャンペーンを計画しております!
こちらでは開発が始まった当時を振り返りながら製品開発時の秘話やこの仕様に至った経緯など、ちょっと別の角度からSNAPPERを深掘りしていきたいと思います。
随時更新していきますので乞うご期待ください!

[ 開発チームメンバーによるSNAPPER回顧録 ]

第一章 – 開発秘話&ヒストリー

-5- 【搭載ピックアップ】

最終的なラインアップとして候補に上がっていたのは、「メイプルトップ/バスウッドバック」のラミネート構造ボディモデル、「アルダー」単板ボディモデルの2タイプでした。
まだSNAPPERというモデル名は決まっておらず、開発チームはこの2タイプのギターに愛称を付けて区別していました。メイプルトップ/バスウッドバックは「LA」、アルダーボディは「NY」です。

そしてこの2タイプに搭載するピックアップの選定にも非常に多くの時間が割かれました。

メイプルトップ/バスウッドバックの「LA」は、その名の通り西海岸系スタジオミュージシャンの軽快な立ち上がりを持つギターがコンセプトです。トップのプレゼンスが荒々しく立ち上がるタイプではなく、トレブルがメローに抜けるイメージです。もちろんエフェクト乗りも考慮すべきポイントです。さらにはプロユースのレコーディングへの対応を目指す以上、極めてローノイズであるという事も決して避けて通れない部分でした。

総合的に考えてアクティブ・ピックアップという選択肢もあったのですが、今回のモデルはあえてパッシブ・ピックアップにこだわりました。我々の目指す最適なトーン、かつてないローノイズを目指してESP Custom Labチームが新たなピックアップの開発に動き出しました。結果、多くの試作と試行錯誤を経て完成したのが CL-P-S1(シングル)とCL-P-H1(ハムバッカー)なのです。

一般的なピックアップとの違いとして、最も特徴的なポイントはその外来ノイズ処理方法にあります。ピックアップ本来の信号に一切干渉する事無く的確なノイズ処理を行うために、コイルとボビンを銅箔で包み、ピックアップのホット/コールドとは別にグラウンドアースに落されるよう設計しました。このノイズ処理用の配線材にはOFCケーブルを使用しました。

コイルの周りに巻かれた銅箔にピンク被膜のOFCケーブルが配線されており、ピックアップ全体がシールディングされている状態。

ノイズ処理と共に消失してしまうハイ成分のロスが無いジューシーなサウンド。
ホップアップするようなサウンドの粒立ち、しかもウォームでスムース。
ハムバッカーはコイルスプリット時に歯切れの良いトーンが再生されるようにデザインされています。

アルダーボディの「NY」は、東海岸系セッションミュージシャンのようなサウンドのギターというコンセプトです。サウンドにプッシュ感があり、少しゴツゴツした肌触りのどことなく泥臭さを感じるトラッドなイメージです。伝統的なテイストを必要としたこちらのモデルのピックアップは、あえてESP Custom Labでの新開発はせず、Seymour Duncanを採用することにしました。

ネック・ピックアップとミドル・ピックアップには、Alnico-II Pro “APS-1” Beefed Upと言う、聞きなれないシングルコイル・ピックアップが搭載されました。このピックアップは、Alnico-II Pro “APS-1″をパワーアップさせた力強さと、クリスピーなプレゼンスのキレがある、カスタムショップ製の特注仕様です。オーバードライブ・サウンドはもちろん、ファズ系とのマッチングも良好で、クランチ・サウンドからパワフルなディストーション・サウンドまで幅広い表現力を持ちます。
ブリッジ・ピックアップは、リッチなローエンドとミドルの抜けがあり、魅力的なサステインとハーモニクスが特徴の、傑作ハムバッカーSH-4 “JB”を選択しました。

あまり知られていない豆知識なのですが、初期SNAPPERのブリッジ・ピックアップのJBには、ポールピースピッチが約11mmのトレムバッカー”TB”ではなく、あえてポールピースが約10mmの”SH”が採用されています。いろいろなピックアップを載せ替えて検証した結果、弦とポールピースの位置がずれているピックアップには耳に心地良い味わいと独特な音のまとまりがあると感じたためです。
本来であれば、トレモロ用にポールピースピッチが最適化されたピックアップを搭載するのが定石ですが、開発チームは聴感上のフィーリングを優先し、このモデルにはあえてセオリーから外れた選択をすることにしました。

更にSH-4には金属製のカバーを取り付けました。金属製のカバーはハムバッカーのベースプレートと繋がっており、ピックアップ全体がシールディングされている状態となりますので、外部からのノイズを遮断する効果がありますが、サウンド的にはシールディングの影響でトップレンジがやや滑らかになる印象があります。ピックアップのSSH配列における音量のバランスを取りに行くのではなく、黎明期のコンポーネントSTのように、シングルはよりトゥワンギーに、ハムバッカーはより艶やかにという各々のキャラクターをより際立たせることを狙った選択です。

※本記事では、2003年発売のSNAPPER ファースト モデルの構造を解説しています。

(SNAPPER開発チーム メンバーK)

– つづく –

【合わせて読みたい】
◆ ESP SNAPPER-7 開発秘話

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